閉じる


<<最初から読む

13 / 36ページ

第二章

丹沢山地(神奈川県)

 


丹沢 ヤビツ峠~大山を行く

2015年423日、晴れ

記憶が確かならば初めてとなる丹沢山系の大山を目指す。
これまで高尾・陣馬・相模湖周辺の山を歩いてきた。日帰りで行かれる範囲で登りたい山も少なくなってきたし、次のステージへ。
今回、この大山を目指す理由は私の母や、近所のママさん、そして高校時代の友人も登った経験のある著名な山であること。ならば私もできるはず。

小田急秦野駅からバスを経て蓑毛に到着、ここから第一地点であるヤビツ峠へ。 熊出没注意の看板にビビり、熊鈴をわざとらしく鳴らしながら沢沿いから歩き出す。
平日ということもあり人影はないが標高が高くなるにつれチェーンソーの音が大きく聞こえてくると少しだけ安心感が増してくる。
かなり整備された道なので歩きやすいが崩落箇所で人が歩くのがやっとのような場所もあり緊張感は決して消えない。それでも所々で見える下界の町並みは何物にも代えがたい。
晴れてはいるものの、うっすら霞む景色、昨夜の予報外の雨がちょっと憎くなる。

先ほど聞こえたチェーンソーの音、林業の方と挨拶を交わし、ほどなくヤビツ峠に到着。

わずかにロードバイクの人達がいるだけでひっそりとしている。
丹沢系の山々のトイレは有料が多いということはリサーチ済み。ここヤビツ峠は50円チップ制。入山届けもここで記入できる。
投函箱に書かれた「単独登山はやめましょう」の言葉にちょっと心が痛む。
大袈裟だが冒険はすべて自己責任であることを裏付ける言葉だ。

1時間ほどでヤビツ峠(標高761m)にたどり着いた後、今回の目標地点である大山山頂を目指すため、イタツミ尾根を歩く。
比較的歩きやすく下界の見晴らしも良い道だが急斜面もあり、なかなか面白い。
一箇所だけ鎖場があったが、ストックを握っている私にとっては必要なかった。おそらく下りの人用であろう。
終盤に差し掛かり、急斜面がずっと続くようになる。歩調と呼吸が噛み合わない苦しい状態に。
さらに追い討ちをかけるごとく雨がポツリポツリと降り始め、「これが標高1000メートル超えの現実か!」と今までの己の甘さを痛感する。すでに汗がびっしょり、不快感ピーク!
山頂まであと0.3kmだったか0.4kmだったか忘れたが、表示されている道標を見て、今までの山なら「もうすぐだ!」と感じる距離が「まだですよ!クスクスッ(笑)」と嘲笑されているかのように感じる。

半端でない息切れのまま、山頂(標高1251.7m)に到着。11:55am 879hPa 雨。

残念ながら絶景は次回までのおあずけとなる。小屋で雨宿りをしながら昼食休憩をしている人多数、ここまですれ違う人は僅かだったがおそらくメインの大山寺側から入山した人が多いのであろう。
このあとも続々と登頂達成する人たち。みんな険しい表情である、私だけではないんだね!
用意しておいた自家製おにぎりを頬張っている途中、再び日差しが降り注ぐ。お天道様からのご褒美かな?でももっと早く欲しかったなぁ。
20
分ほどの短い食事休憩を済ませ、下山開始。

こ、これが・・・きつい!

先ほど来たイタツミ尾根と違い、岩また岩の悪路。ストックを使っているものの、下りが苦手ということも重なりなかなか先へ進めない。
途中、山頂を目指している多数の人々と挨拶を交わす、中には力尽きたのか岩に座り込んでいる人の姿もある。

まるで落石事故現場のような登山道を1時間以上かけて下りたのだった。

ようやくケーブルカーでも下山できる阿夫利神社に下りついた頃には精も根も尽き果てる。ここまでの下山において2度も浮き石を踏んで転倒し尻餅をつくという不覚に終わり、敗軍の将、兵を語らずの心境である。
ここから先は自力で進むならブロック石を並べられた急な階段を下りなければならない。もちろん手すりなどはない。
男坂と女坂の二手に分かれるが、躊躇している軽装の若者男女6~7人を背にして、先陣切って女坂を下る。
しかし、すでに膝ガクガク、ももプルプル。階段の踏面は私の足のサイズ27cmより狭い。ストックを使って横向きに慎重にカニ歩き。あの若者からしたらきっと外見以上の年配者に見えたであろう。

滑落注意の看板が所々ある中、恐る恐る下りる。ここで何かあったらと想像するとさらに緊張感がMAX。先ほどの岩場のほうがよほどマシだった気にもなる。
あとからあの若者たちも普通の階段を下りるが如く先を越していく。
「若いって良いなぁ!でも20歳若くてもこんな風には下りれないだろうな。オレ高所恐怖症だし」
私は何度も階段の途中で休憩した。これが現実である。彼らはすでに遥か下のほうに見える。雄叫びらしき声も聞こえてくる。若い!

ケーブルカー駅近くの茶湯寺までどれほどの時間がかかったであろう、地獄の階段が終わるところにようやくたどり着くと、先ほどの若者たちが一人を囲んでいる。どうやら仲間の男性が滑落したようである。「骨折しているかも」一人がそう言っているのが聞こえた。
結果論であるが、軽装、しかも若気の至りでは済まされない連帯責任である。山をナメるな!
といっても私も20代の頃は高尾山を軽装で歩いていたので他人事ではないが。

小田急伊勢原駅まで行くバス停のある所までは土産屋また土産屋。『いらっしゃいませ』の言葉がいまの心境では悪質な客引きにまで聞こえる(ゴメンなさい)。
その後、バス車内の優先席で爆睡していたのは私です。

*****

娘「ただいま~」
私「おかえり~」
きょうも夕食の支度に間に合いました。

私にとっての到達点は、山頂ではなく海抜ゼロメートル地帯にある我が家です。(笑)


表丹沢の眺望 頭高山~震生湖を歩く

2015年5月13日、例年にない季節外れの台風は通り過ぎ、晴天。
先日、チャリンコでコケて左膝・大腿部及び脇腹を負傷しているため、きょうはおとなしく家事・・・

          
と、思うこともなく小田急線渋沢駅にて下車。
こことその隣にある秦野駅は、近いうちアタックするであろう『丹沢主稜縦走』の出発地点となるので、前夜泊の宿や食糧品購入場所などリサーチする必要がある。
今回は天候も回復したので一眼レフを持ってついでにハイキングも。

渋沢駅周辺をぶらっとするが、駅以外には大したものもなく、本当にここが丹沢山稜の最寄り駅なのか?このリサーチに関しては無駄という事で即決!

ひとまず頭高山(ずっこうやま、303.4m)という小さな山までハイキング。
多くの畑があるため、農道が無数にあり少しだけ分かり辛い。コンパスで向かう方角を確認しながら進む。
昨夜の台風の影響で土質の道はいくらかぬかるんでいるものの、何台も作業軽トラックとすれ違うだけある幅広の歩きやすいコースである。急斜面と呼べるほど の道もない。しかし「この上がピークか?」と推測し、滑りやすい斜面を慎重に上りきると送電線の鉄塔と基準点しかない箇所だったという・・・。それくらい 道標は不親切である。

頭高山のピークに向かう途中での休憩所から映える表丹沢の山塊は、職場のアンチ登山のヤツが言った「山は下から見上げるほうが綺麗」という意味を肯定してしまうかのような眺望。
写真右側のピークは以前登頂した大山、そのすぐ左下にヤビツ峠が見える)

ここまでのんびり歩いてもわずか1時間ほど。頭高山のピークに上がってみたが東屋風の休憩場所があるだけで展望もなく、写真を撮るのも忘れてしまったほど。

次に向かったのが八国見山(やくにみやま、319m)、歩きやすい渋沢丘陵をずっと歩く、南方には箱根の山も見える。穏やかな風が涼しく心地良い。道標のとおり進むと竹薮の獣道へ。

こんなところ誰も来ようとしないだろう!と思うほどの、それはそれは小さなピーク。しかしベンチがある。かれこれ2時間以上歩き続けているのだが、薄暗く気味が悪くて休憩する気にはなれなかった。このまま歩き続けてしまおう!

表丹沢の絶景を堪能しながら歩き続けると、関東大震災で出来上がったという震生湖に到着。釣りを楽しんでいる壮年の方々が数名いる静まり返った空間。

ここで一休みと思ったのだが、行動食も休憩食もすべて歩きながら食べ尽くしてしまったので何もなく、且つ空腹という状態になったので、結局最終地点である小田急秦野駅まで約4時間ノンストップのハイキングとなりました。

*****

小さな子連れでもできる素敵なハイキングコースだと思います。次回は冬の空気が乾いた早朝にここに来て写真を撮ることに決めました!


トレランの女王と日向山(丹沢)を行く

2015年5月20日 朝。
高校時代の友人である女王K子(仮名)と待ち合わせたのは小田急本厚木駅。
丹沢山塊、大山の東にある小さな日向山(ひなたやま、404m)までハイキング。

このK子(仮名)、3日前に国内最難関といわれるトレイルランニング『野辺山ウルトラマラソン』を走った ウルトラウーマンである。本人は100km完走を目指していたそうだが練習不足で42km地点でリタイアしたとのこと。(ご主人は今回、5年越しで念願の 100km完走を果たした)
以前、私があれほど苦しんで下山した丹沢山系・大山でさえ、走ってクリアするつわもの。『野辺山ウルトラマラソン』のたった3日後に山歩きをする野人である。


お互い15歳の純粋な頃から知り合っていながら、まさか30年余の時を経て一緒に山歩きをするなんて不思議。K子はハイキング・トレッキングの先輩でもあるので往きのバス車内でもいろいろアドバイスをしてくれた。
道中は舗装された歩きやすい勾配。
ロッククライミングにトライしているグループ、大釜弁財天という小さな沢にある小滝などを見る。道中の合間に共通の友人の話題などしていて飽きることなく歩く。
道標の見落としによりこのままでは大山まで行ってしまうルートに進んでしまい、元の地点まで戻るというハプニングもあったが、私の単独行では茶飯事なので 気にもせず『これぞ冒険』とお互い笑って過ごす。国土地理院のHPにもないルートがあったりとなかなか手強いのがマイナーな山の典型であるが。

レンズ一体型ミラーレス一眼を持って来たK子に写真の撮り方のコツを少しだけアドバイス。写真に関してだけは私に軍配が上がるようだが、やはりト レランの女王だけあり上りも下りも息を切らすこともなく、休憩も水分補給もしないまま喋りまくって歩き続ける。すでに私は汗だくなのだが。。。

見城山(みじょうさん、375m)に到着。低山だがピークまでの勾配はなかなかのもの。土質と木の根があるお蔭で足の疲れは皆無である。

そろそろ正午に近付き、本日のメイン(?)である反省会という名のビール飲みが恋しくなり、道中を急ぐ。
尾根伝いで日向山404m)に到着、記念撮影。

見城山に着くときは一人だけハイカーがいたが、ここには誰もおらず。本来ならK子と二人だけの秘密の楽園と称したいところだが、残念ながらこの30年間お互いに異性として意識したことがない。

この先は歩きやすい下りでトントン拍子で最終地、日向薬師に到着。あっという間の道中も程無く修了。

小田急伊勢原駅近くの食堂にて反省会。このためといっても過言ではない(笑)

お互い家事があるので早めのお開きとなる。良い汗かいたあとのビールはやはり旨い!!


津久井湖城山の急峻

2015年65日 快晴。
関東の梅雨入りはまだのようで週間予報もはずれ、いつになく好天。

京王線橋本駅からバスで20分ちょっと。津久井湖観光センター前で下車したのは私ひとり。自称『平日のマイナー低山マニア』からすればいつものこと。
バス停が『県立津久井湖城山公園』の入り口なので目の前の階段を上がるだけ、園内マップや道標も分かりやすい。『らくらくコース』と『ちょっと険しいコース』がある、もちろん惑わず険しいコースをメインに。

いきなり獣道のようなヤブを掻き分けながら入山、いくつもの蜘蛛の巣が手や顔に絡み付く、どんだけハイカーが来てないんだ?ヤブを越えると次は真っ暗な開 けた道、さらに昨日の雨で所々ぬかるんでいて蒸し暑いのがつらい。このまま引き返したいと後悔するほど怖いが、国道を走る車輛と近くの高校と思われる体育 祭の喧騒が何よりの救い。


「クマ!?」斜面上方に黒い影!反射的に立ちすくむ。がしかし、よく見ると1~2メートルに切断された巨木の丸太だった。(苦笑)
途中、クサリ場が二カ所あるがきついというほどの傾斜でもなく、無事に鷹射場という展望の良い小さなピークに到着。
誰もいない。

『これより先 急斜面』の表示板を尻目に、次の目標地点へ。
下りはじめて間もなく分岐点。『女坂』、もう一つは国土地理院の地図にはない急峻尾根の『男坂』。下りの苦手な私は女坂へ。
ほとんど歩かれた形跡がなく、踏み固められていないためストックがやわらかな地中にズブズブ入ってしまう。女坂とはいえ急斜面のためロープ場になってい る。落ち葉が堆積している箇所ではトレイルがはっきりせず、木の幹に巻かれたカラーテープを頼りに下るしかない。怖い!ヘリなどで上空から見たらただの遭 難者であろうに。

沢沿いまで下りきると男坂との合流点、次は男坂の上りに挑戦する!女坂と同じく人と行き交うのが困難な細い道、そして容赦ない急斜面。
傾斜45度以上は間違いなくあると思われるクサリ場を一歩ずつ・・・ではなく半歩、半歩。

下を見たら怖いのがわかるが、左右どちらを見ても断崖絶壁の箇所も。

「娘よ、パパが今夜帰って来なかったら、これからずっとお友達の家でご飯をご馳走になりなさい。そしてそのおうちの子になりなさい」

低山でこれだけ本格的なトレッキングができるは初めて!先ほどの小ピークの鷹射場まで戻った時にはひどい息切れ状態。

ちょうどそこで正午なので食事休憩することに。今回初めて持参したバーナーコンロとコッヘルでお湯を沸かす。

下界ではしょぼい食事も山中では美味い!
今まで単独登山ではきちんと食事休憩せず、歩きながらとか立ったままなど先を急ぐあまりいい加減にしてきたが、口に入れるまで手間と時間がかかる分しっかりと身体を休憩させてあげられた。
(食事休憩に関しては時間のあるとき別記事にしたいと思う)

信じられないほどのリフレッシュ感で、次の地点『城山』を目指す。というより、今までの体力消耗は何だったのだろうと感じるほど難なく登頂。

城山(しろやま、375m)、ただの平地。一段下にトイレと展望休憩所あり、いずれも誰もいない。

丹沢山塊に向かって一礼し、『いつか縦走させていただきます』と心の中で宣言した。

下山道で見上げた城山。また一歩自分に自信をつけてくださったことに感謝し、また登らせていただくことを告げた。

*****

バスは橋本駅から1時間に5本出ているのでアクセスは非常に便利。今回行かなかったがアスレチック遊具もあるのようなのでファミリーハイキングにも良いかも(険しいコースは本当に危険!)。
帰宅後、山中でカップ麺を食べた話を娘(アンチ山ガール)にすると、なんとなく楽しそうに感じてくれたようです。
---
山より団子---



読者登録

keidohさんの更新情報・新作情報をメールで受取りますか?(読者登録について