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善人の忍!白咲優子

 ここは東京聖都高等学校(とうきょうせいとこうとうがっこう)。黒華達の居る

神華学園とは真逆の方向にあり、ここも有名な学校である。

 そして、ここが黒華と戦った白咲優子(しろさきゆうこ)が居る善人の忍でも

あった。

 

 悪人達とは違い、優子達は普通に一般の生徒として活動しており

何か任務があればその時に忍になる。

 当然、この学校内に忍の拠点があるが、それは堂々と学園内に

あった。それは、特殊科(とくしゅか)という教室があり、そこに入っている

者達が忍であった。もちろん、忍である事は公開はしていない。

 その教室に優子が居た。

 

 「それじゃとうとう悪人が動いたのですか?」

 「たぶん。でも、あれは偶然その場に居たって感じだったけど」

 「それでも、あなたを忍と見ぬいて迫ってきたのですから

何か目的があったのかもしれませんね」

 「そうだね。私がもっと強かった話を聞けたかもしれないのに」

 

 そう優子と話しているのは同じ忍で、優子の先輩の女子生徒

稲葉ゆいだ。二人が話をしていると先生がやってきた。

 

 「白咲、悪人と接触したそうだな」

 「ハイ。でも、たぶん偶然です。狙ってやってきた感じは

なかったです。あいつの単独みたいだったし」

 「悪人は単独行動が多い。一人の方が任務を遂行しやすいしな」

 「そうですね」

 「どうした?暗い顔をして」

 「いえ、彼の強さ、本物でした。私はまだまだですけど、それでも

あの人の殺気はわかりました。正直怖かったです」

 「それが悪人だ。人を平気で殺せて、裏切る事もたやすい。卑劣

極まりない連中だ。私達善人はそいつらを倒すのが使命だ!

あっちが動いてきた以上、こっちも気を引き締めろよ」

 「了解」

 

 教師の井上が豊満な胸の下で腕組みをしながら話す。二人は

それから普通に授業を受ける。この教室は他の生徒は中を

見る事ができないようになっているので、生徒が少なくても

大丈夫だった。

 放課後、白咲は部活の助っ人をしていた。特殊科の

生徒は運動ができるという事は他の生徒もわかっており

なのでよく優子達に部活の手伝いを頼んでいた。

 その部活も終わり、夜のはじめ頃、白咲はあの公園に

居た。ここで、黒華と出会い、悪人と初めて接触したのだ。

 白咲はしばらくここで考えていると、誰かが声をかけてきた。

 

 「なるほど。あなたが善人の人ですか」

 「!?悪人?え、でも」

 「もしかして、そうは見えないと思ってますか?まぁ自分でも

もっと悪人っぽい感じにはしたいんですけどね。だから

こうして髪も目も紅くしたんですけど。それでもそこまで見られない

のかしら」

 「そうですね。見た目では見れないですよ。でも、あなたの

殺気は伝わります。静かですけど、とてもおぞましいほどに」

 「それなら話は早いですね。時間、ありますか?」

 「ええ。たぶん、逃げ切れないでしょうから」

 「ではあちらに」

 

 優子はあの倉庫に連れてかれた。黒華とは違う恐怖を

感じていた。

 

 「それでは自己紹介をしましょうか。私は悪人の紅衛翔子です」

 「善人の白咲優子よ。でも、そんなに簡単に正体を

ばらしていいの?」

 「あら、これが本物とは限らないわよ。何せ悪人だから」

 「そうね。それで何か用かしら」

 「ええ。先日はうちの凍世が何かしたみたいですね」

 「凍世?あの男の人ね。ええ、いきなり現れていいがかりを

言われて襲い掛かられたわ」

 「いいがかりですか。でも、それは正しい事です。あなた達の

正義が正当化されて、悪は悪にさせられる。どんな事をしても

説明しても、許されない。それはおかしいとは思いません?」

 「いいえ、悪人のする事を肯定してしまったら善も悪も

なくなります。だから、悪は許されません」

 「本当に真面目な事ばかり言うのですね善人は。だから

嫌われるんですよ!」

 「!?」

 

 紅衛はくないを投げた。そこから戦闘が始まり、白咲も

応戦する。戦いながら言い争う二人。そして、紅衛が

白咲を押し倒す。

 

 「これで終わりですね。やはり善人は甘いわ。こっちは本気で

殺しにかかっているのにあなたは殺そうとはしていない」

 「当たり前です。例え悪人でも人を殺めたら悪人と同じに

なってしまいます。私は善人です。あなたを助けたいと思ってます」

 「助ける?やはり綺麗事ですね。それが気に食わないんです」

 

 紅衛が止めを刺そうとした時、どこからかくないが飛んできた。

 

 「どうやらお仲間が来たみたいですね。今日はこれで下がり

ますが、これであなたは二度死んでいます。それは忘れずに

いてください。では」

 「待て!!」

 

 紅衛は姿を消した。優子は助けに来た、稲葉と共に一度

学校に戻った。

 


黒華の思い付き!?国会乗っ取り、首相達を人質に。

 白咲は聖都校に戻り井上達に紅衛のことを話し、これからの悪人と接触の仕方を

話し合った。

 

 ――

 

 その、黒華は暇を持てあましていた。神華学園の教室で一人、席に座り

上を見ていた。

 

 「暇だ。善人の場所に行って冷やかしでもするか」

 

 などと考えながらボーっとしていた。ふと、教室にあるテレビをつけると

そこでは政治家による犯罪があばかれ、その者が叩かれている

様子が映っていた。

 黒華でなくとも、普通の民は国の奴らが悪いことをしているのは

知っている。それが露見すると余計に腹が立ち、陰で文句を

いう。昔は運動活動などはあったが、今の軟弱な現代っ子はそこまで

しない。それでも、その噂はすぐにテレビに広まり、そこから直接悪の元に

届いていく。

 黒華も教室でしかテレビは見ないが、見るたびにこういう悪行が

報道されるこの時代、この世界にいやけがさしていた。

 

 「しかたない、ちょっと遊んでくるか」

 

 黒華は行動に出た!?

 

 夕暮れ時。ここは日本の中枢である国会だ。中では議員達が

話し合っており、現首相である椎名首相が演説していた。

 

 普段はカメラも入っているが、今の会議ではカメラなどマスコミ関係は

おらず、議員達だけの会議になっていた。

 そして、首相が演説を終えた瞬間だった。その室内が爆発したのだ。

 

 激しい音と共に煙が立ち込める。それに驚いた議員達は慌てだし

部屋を出ようとしたが、ドアが開かず、閉じ込められていた。

 

 「なんだこれは!?」

 「何が起きたんだ?」

 

 慌てる議員達。そんな中で、首相は落ち着いてた。

 

 「みなさん、慌てないで!落ち着いて対処しましょう」

 

 その声に少し落ち着くが、室内はざわついていた。そんな中

煙がはれ、室内が見えるようになっていた。

 すると、そこには黒華が首相にくないを押し当てて人質に

している姿があった。

 

 「首相!!」

 

 驚いた議員達。それもそうだ。黒華は学生服を着ており

そのままの姿でいたのだから。

 

 「キミはいったい?」

 「あんたなら知ってるだろ?俺の事」

 「首相知っているのですか?」

 「いや、知らない。誰なんだねキミは」

 「俺は黒華凍世。もちろん偽名だがな。そして、忍だ」

 「!?そうか、キミが」

 「忍ってあの忍者の事か?」

 「そうだ。いっておくが本物だ。でなければこんな事できる

わけないだろ?」

 「確かにそうだが、しかし、本当にあの忍なのか」

 「そうね。どうみても学生みたいだし」

 「これが本当に姿と思うなよ。忍は常に隠れている存在

なんだ。これも偽りの姿だ。それぐらいわかれよ。国を動かして

るやつならな」

 「それで、お前の目的はなんだ?金か?それとも政権交代

でも頼まれたのか?忍だしな」

 「それも面白いが、今回のは俺の単独だ。ぶっちゃけ

暇つぶしだ」

 「暇つぶしだと!?そんな事でこんなことをしているのか」

 「ああ。なんせ俺は悪人だからな。犯罪なんて気まぐれで

するさ」

 「すると、キミはこれまえにも犯罪をしてきたのかね?」

 「ああしてきた。もちろん、人殺しもな」

 「それならなぜ捕まらない?」

 「忍が簡単に捕まると思うか?今の抜けた奴らに忍は

捕まえられんさ」

 

 黒華は淡々と話す。それに議員達はひそかにどこかと連絡を

とっていたりしていた。それはもちろん黒華はわかっているが

あえて見過ごしていた。

 そして、黒華がこれからのことを説明し始めた。

 

 「これからお前らには避難訓練をしてもらう。ただし、難易度は

超S級だけどな」

 「避難訓練だと?」

 「そう。俺はこの首相とあんた達を人質にして立てこもる。それを

あんたらがどう避難するかが課題だ。まぁテロに屈しないとか

ほざいているが、実際に自分らが人質になったらどう動くのかを

見てみたくてな。まぁ私利私欲しか考えてない国の奴らには

どうすればいいかはわからないだろうがな」

 「キミはまさか、先日の議員が犯罪を犯した事に苛立ち

このような犯行を?」

 「それもある。まぁ俺じゃなくても、民はいつもあんたらを

犯罪者扱いしているがな。一応言っておくが、政治なんて誰も

信じてないぞ。ただだべって話し合ってるだけの奴らになんてな」

 「そんな事はない。我々は国の為に動いているんだ」

 「それは国であって、民の為ではないだろ?そして一番は

自分の出世のことしか考えてない。どの社会も上に立てば

楽して暮らせるからな。まぁそんな事より、今は自分達がどう

生き残れるかを考えな。ついでにいっておくと、俺は何日でも

こうしてられるぞ。忍だしな。お前達はどれだけ持つか。いつも

座ってるだけの奴らがな」

 「おのれ」

 

 議員達は立ちながら黒華を睨んでいた。今ここには何百人も

いる。普通なら一斉にとびかかればどうにかなるんじゃないかと

考えるが、相手は忍、うかつには動けなかった。

 黒華は自分が忍という事を見せるために、天井を歩いたり

手裏剣を投げたり、変装をしたりして本物であるとわからせていた。

 

 そうして黒華による前代未聞の首相を人質とした立てこもり事件が

起こった。その事件が表に知られたのは翌日の事だった。

 

 


この本の内容は以上です。


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