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お詫びとご挨拶

読者の皆様へ

いつも拙い映画レビューをお読みいただき、誠にありがとうございます。

「映画に宛てたラブレター 2016年4月号」

なんとか、お届けすることができ、ホッとしております。

ただし、今月は3作品のみとなりました。

毎月、この読み物を楽しみに待っていてくださる奇特な読者の皆様。

誠に申し訳ございません。

実はこの4月号、一時は「休刊もやむなし」と覚悟を決めておりました。

その最大の原因としましては……

大胆にも「自分史を作ろう」というプロジェクトを始めてしまったことです。

来る4月29日午後2時より、兵庫県明石市の生涯学習センター「学習室4」にて講座を開きます。

人前で講演、講座を「したり顔」でお話しする、というのは、相当な図太い、強靭な神経と、厚かましさ、それに揺るぎない自信が必要なのでしょう。

プロジェクトを始めてから、ふと私には「上記の全てが欠落している」ということに気がつきました。

弱々しく、傷つきやすい神経と、人一倍の引っ込み思案、及び人見知り、さらには誰よりも自慢できる、自信のなさ。

このままでは「自分史をつくろう」プロジェクトは頓挫するのではないか? という不安と恐怖に襲われました。

「だったら、やらなきゃいいだろう」とおっしゃる方もあるでしょう。

しかしです。

驚いちゃいけませんよ、あなた。

このチャランポランな、頼りない「講師アマミヤユキト」の講座に、すでに参加申し込みがあったのです!!

せっかく、ご参加申込みいただいた方を、裏切るわけにもいきません。

いよいよ「やらなきゃしょうがない」状況に追い込まれました。

モロモロの準備をすすめるなか、精神的プレッシャー、更には長引いた風邪など、いろいろ体調不良が重なり、ニッチもサッチも動けない状況となりました。

自分で始めたプロジェクトで、自分自身が精神的に追い込まれてしまう、という誠に「ミットモナイ」限りとなりました。

また、自分史講座の教材として「自分史の教科書」という、大それた名前の小冊子を作る作業も、大きな負担となりました。

原稿作成から校了、印刷製本の発注まで、ドタバタでございました。

これも近日中に公開する予定です。

今後とも何卒、ゆるゆるな、温かい目で見守っていただければ幸いです。

 

なお、厚かましさついでに……。

 

私、天見谷行人には「唄う物書き」というキャッチフレーズがございます。

 

若かりし日に作った、失恋ソング

 

「愛のフラストレーション」

 

この楽曲の録音にあたりましては、音楽祭の音響や、舞台音響をご教授されている先生に、たいへんお世話になりました。(写真はその録音の時の機材です)

 (AKGというマイク。真空管を使うのだそうです)

録音機材と録音技師は超一流でございます。

いちどYoutubeでお楽しみいただけると幸いです。

 

天見谷行人

 


リリーのすべて

リリーのすべて

2016年4月2日鑑賞

誰にも渡したくない、この余韻を

 

2016年春、早くも今年ナンバーワン!、と思える作品に出会えました。

「リリーのすべて」

私はとても良い作品だと思いました。

エンドロールでは不覚にも涙してしまいました。

世界で初めて「性別適合手術」を行った人の話です。

物語の舞台はデンマークの首都ロッテルダムです。

1,926年。第一次大戦の傷も癒え、束の間の平和が訪れたヨーロッパ。

人々は平和な時代を、おおいに楽しみました。

さて本作の主人公アイナー・ヴェイナー。

主に風景画を描いている絵描きさん。

奥さんゲルダも画家です。彼女は肖像画を描いている。

ただ、画商さんからは

「奥さんの絵は……ちょっとねぇ」と渋い顔をされています。

なかなか売れそうもない。

でもゲルダは、肖像画家として、なんとしても成功したいと願っています。

今、手がけているのは、大きなバレリーナの絵。

ぼくは絵画の知識、まるでないんけど、たぶんサイズは150号近いんじゃないですかね。

2m×1,8mはラクにありそうな超大作です。

モデルさんが、たまたまいなかったので、ゲルダは旦那さんに

「ちょっとアンタ、手伝って」

といきなり、バレエのチュチュとタイツ、トゥシューズを押し付けます。

ご主人のアイナーは、やせ形で、今風に言えば草食系男子。かなりイケメンです。

美男子は、女装させると、本物の女には出せない”怪しいまでの”「女子力」がある事は、結構知られていますね。

「しょうがないなぁ」とご主人、しぶしぶ靴を脱ぎ、ズボンを下ろして、白いバレエタイツに脚を通してみました。そのときです。

「えっ……」

なんだろう、この感覚は?

彼はドキリとします。

-どういうこと?-

自分でも分かりません。

なぜか胸が苦しい。でもちょっと嬉しい。

この白いタイツの心地良い肌触り。

「まさかこれが自分の脚?」

彼が見つめるその先には、白いタイツに覆われた、均整のとれた、無駄のない脚がありました。

それは、まさしくバレリーナの脚そのもの。

続いてバレエのチュチュも体に当ててみる。

「オッケー! ハイ、そのまま、じっとしててね」

奥さん、旦那にポーズを取らせ、描き始めます。

全てはここから始まってしまいました。

女装させると「うちの旦那、結構いけるじゃない!」

と奥さんゲルダも、ゲームを楽しむように、旦那を着せ替え人形みたいに取り扱います。

ついでに「メイクもやっちゃえ!」

その勢いで奥さんは、女装した旦那を伴ってパーティーへ繰り出します。

会場に着くなり

「まぁ~、素敵なお友達ねぇ~、どちらのお嬢さん?」

と、女友達からも尋ねられます。

フフフ。

こんなに「綺麗な女」に変身させたのは、自分のアイデアとメイクの実力。

奥さんの思惑は大成功。アーティストとしての面目躍如、といったところでしょうか。

パーティーは盛り上がります。

やがて夫のアイナーは、あることに気づきます。

パーティー会場の男性の視線です。男たちは自分に向かって微笑みかけてきます。その快感。

ちょっとの間だけ「女の子ごっこ」をするつもりだったアイナー。

しかし、これが夫、アイナーの中に眠っていた「女である私」を目覚めさせてしまったのです。

やがて彼は、普段から女性の姿で生活を始めます。

もう後戻りできない。

「やっぱり自分はどこかおかしいのか?」

夫婦は病院に行きました。

このお話、今から90年ほど前のことですよ。

当時、男が女の格好するのは「ホモ」「変態」「異常者」扱いされていた時代です。

21世紀の今でさえ、いわゆる「LGBT」への偏見の目が、根強く残っている現実があります。

それが90年前の世の中では、それこそ、もう、人間としての市民権さえ剥奪されかねない。

 当初、夫婦は精神科へ通いますが、やがてドイツに「性」に関する名医がいるとの噂を聞きつけます。そこで夫婦はドイツのドレスデンへ直行。

そこで医師から提案されたのは外科的な治療でした。

「手術は二度に分けて行います。まず、ご主人の男性器を切除し……」

名医は偏見の目を持たず、丁寧に丁寧に説明してくれました。

ついにアイナーは、本当の女となる事を決意します。

「私は、もうアイナーじゃない。リリーです。女性として生きていきます」

本作は、たいへん格調高い、気品溢れる作品です。

変なエロさや、いやらしさはなどは微塵も感じないんですね。

これはきっと原作の良さ(ちなみに本作は実話です)そして丁寧な脚本の仕上げ。

作品を作る視線、主人公たちを温かく見守るスタッフたち。

更には、映画全てをまとめあげた、アカデミー賞監督トム・フーパーさんの手腕。人格者としての品性の良さ。

それら全てが相まって、こんな素晴らしい作品に仕上がったのでしょうね。

時折、風景画のように挟まれる、デンマークの街並み。

朝の日差しの清々しさ、あるいは夕暮れ時、セピア色に染まるロッテルダムの風景。

ただ、もう、ずっと、鑑賞していたくなるような味わい。

まさしく絵画そのものです。

また、画家のアトリエでの「ほんのり」「ふぅわり」とした明るさ。

照明スタッフがこういうところ、実にいい仕事してますねぇ~!

かつて伊丹十三監督が、ため息まじりにこう言いました。

「ヨーロッパの監督はいいよな。街を映すだけで映画になっちゃうんだからね」

 ほんとにその通り。

 街並み、それ自体が、ひとつの美術館とさえ言えるほどです。

 歴史とその土地の文化を雄弁に物語っていますね。

 さて本作では、衣装にも注目です。

1920年代の女性たちが身にまとう、当時最先端のファッション。

そのバリエーション、センスの良さは特筆すべきものです。

シックで気品があってお洒落なんですね。とっても素敵です。

20世紀に入って最初の世界大戦。

それは、人類が初めて体験した大量殺戮戦争でした。

そのあまりの凄まじさ、悲惨さ故に

「もう二度と世界は、あのような愚かな戦争は起こさないだろう」

当時を生きた人々は、皆そう思ったのでした。

「もう二度と、あんな馬鹿な戦争は無い」

その安堵感は、敗戦国ドイツ以外の国、特にフランスなどで、顕著だったように思われますね。

芸術家にとっては、まさに天国のような時代が訪れました。

パリでは芸術家たちが、生き生きと活動を始めます。

ちなみに、日本の「FOUJITA」藤田嗣治が脚光を浴びたのもこの頃。

狂乱の1,920年代と呼ばれた「エコール・ド・パリ」が花開いたのです。

文化、芸術の都「パリ」

その影響は、本作の舞台である、デンマークにも大きな影響を与えていたことが伺えます。

そういった意味で、本作は、アート系映画としての資質さえも兼ね備えております。

また、さりげない音楽も大変趣味がいいですね。

本作はこのように「欠点を探すことが難しい」ほどに、よく出来た作品なのです。

主人公リリーを演じた、エディ・レッドメイン

本当によく演じました。

才能ある画家でもあり、良き夫だった男性を演じます。

さらには、我が身の奥深くに閉じ込められていた「女性である自分」に気づく。

その控えめな演技。

これは監督の演出力と、役者の波長が共鳴した奇跡なのでしょうね。

いやぁ~、もっともっと語り尽くしたい。

そんなことよりも、早く本作を劇場で、ご覧になってみてください。

なお、私が見た劇場では、男性は私を含め、二、三人ほど。

あとは、全て女性でした。

私の前の席に、若い女の子たちが四人、連れ立って来ていました。

その娘たちは、エンドロールが終わり、劇場の照明がほのかに灯るまで、誰も席を立とうとはしませんでした。

ずっとこの作品の余韻に浸っていたようでした。

私も、この静かな余韻を誰にも渡したくない、とさえ思いました。

そして、ハンカチを取り出し、こっそり瞼を拭いました。

誰にも見つかりませんように、と願いながら。

**************

天見谷行人の独断と偏見による評価(各項目☆5点満点です)

物語 ☆☆☆☆☆

配役 ☆☆☆☆☆

演出 ☆☆☆☆☆

美術 ☆☆☆☆☆

音楽 ☆☆☆☆

総合評価 ☆☆☆☆

**********

作品データ

監督   トム・フーパー

主演   エディ・レッドメイン、アリシア・ビカンダー

製作   2015年 イギリス

上映時間 120分

「リリーのすべて」映像はこちら

 


ちはやふる 上の句

ちはやふる 上の句

2016年3月31日鑑賞

 

競技かるたは「荒ぶる」青春なのだ!!

 

「ちはやふる」という”言の葉”を辞書で調べてみました。美しいコトバの響きとは違い「荒々しい」とか、「勢いの強い様子」を表す意味だそうです。「荒ぶる神々」や「神社」にかかる、枕詞なのですね

「ちはやふる」なのか「ちはやぶる」なのか、古い言葉や、短歌の言葉は、本当は厳密に使われるべきものでしょう。

 いにしえの貴族や歌人が、いまから一千年という遠い遠い昔に「うた」を詠みました。

その多くは恋の歌なんであります。

やはり、いつの時代でもラブレターは大切なのですね。

まぁ、当時の人にとっては、思いを寄せる人に宛てた「つぶやき、Twitter」にあたるのかもしれません。

ただ、その「つぶやき」は、今ネットに「垂れ流し」ている「コンテンツ・言葉」とは、まるで次元が違うような気がいたします。

いかに美しい言葉を厳選し、操り、使い切るか?

「五・七・五・七・七」その短い31文字の中に、どれだけの想いを込め、どれだけの言葉で「遊び」、さらには隠喩や暗喩を込めるのか?

そういったところも、短歌の楽しみなのでしょう。偉そうな事を申しましたが、実は私、「短歌」に関してはずぶの素人。無教養なのです。まあ、部外者の「戯れ言」と笑ってください。

さて、その短歌を扱った原作コミック「ちはやふる」

初めてTU●AYAさんの書棚で見かけたとき、その表紙絵の美しさ、可憐さに、心惹かれました。

と同時に「これはやばい!」と思いましたね。

というのも以前、コミックの「神の雫」にハマってしまい、四十数巻という長編を、ほぼ毎日1冊づつ借り続ける、という”ちょっと痛い”経験があったのです。

この「ちはやふる」も、もしかすると「だだハマり」してしまうんではないか? と言う恐れがあったのです。

それほど魅力的な原作漫画を映画化するのは、やはり映画好きとしては、どうしても気になりますね。しかも、主演は広瀬すずちゃん(う~む……カワイイ……おじさん陥落)

昨年、広瀬すずさんは、是枝監督の「海街diary」で、大へんな注目を集めましたね。

腹違いの三人の姉達に迎えられ、末っ子の四女として、一つの家族になってゆく。そのぎこちなさ、初々しさ。映画ファンのみならず、その演技は、私のようなスレっからしのオジサンをも、キュンキュンさせてくれました。

今回「ちはやふる」では「海街diary」と真逆のキャラクター、ハイテンションな女子高生を演じます。

作品の舞台となるのは男女共学の高校です。

主人公「綾瀬千早」は、瑞沢高校に入学。早速、以前から好きだった「かるた」に取り組もうとします。

かるた部がないので、自分たちで作ってしまえ、ということで、綾瀬千早は自分以外にも四名の部員をかき集めて「瑞沢高校かるた部」を新たに設立します。

そして彼女たちは、青春の熱い、アツい日々を部活動に打ち込んでいくのです。

「競技かるた」の世界というのは、オジサン初めて知りました。

それは恐るべき記憶力と瞬発力、判断力、運動神経、そして長丁場の試合に耐え抜く、強靭な体力が必要とされるそうです。

 そのため、彼女達「瑞沢高校かるた部」部員達は一見、体育会系のトレーニングとさえ思えるような特訓を始めます。まるで高校野球みたい。こうして体力と集中力を身につけて行くんですね。

 

本作で描かれる、高校生特有のノリの良さ、そして何事にも「不必要に全力疾走」というモチーフは、ある意味、ありがちな青春ストーリーに仕上がってしまう恐れがあります。

本作の監督は小泉徳宏監督です。

僕はこの人の作品タイヨウのうた」を映画館で観ました。

あの作品は、主役に抜擢されたシンガーソングライター、YUIちゃんのキャラクター、存在感、そしてなにより素晴らしい歌声。

YUIという稀有な才能が、作品全体に「華」として散りばめられているような、素晴らしい作品でした。彼女の魅力をうまく引き出した小泉監督の手腕は秀逸だと思います。

 さて、本作「ちはやふる」はどうでしょう?

 主人公の広瀬すずさんは、もちろん魅力的です。

ただ彼女たちは、なぜそんなに「競技かるた」に打ち込む必要があるのか? 

 その動機付けや、人物像の掘り下げが、スクリーンを通して観客に、いまいち伝わらない、もどかしさも、ちょっと感じられました。

 ただ1つの救いは、助演女優の上白石萌音さんの存在でしょう。

 彼女は以前、周防正行監督の「舞妓はレディ」と言う作品で主役を演じました。

ここまで混じりっ気なし、100%純粋な田舎者?

そんな女優さんなんて、イマドキいないでしょう?

とおもったら、彼女がそこにいたのです。

全くスレてない天然の女の子。不器用で、真剣で、まっすぐな意思の強い瞳。

彼女はそんな女優さんです。

その「素材」としての良さ、本作では非常によく生かされていますね。

なお、本作は「上の句、下の句」という2部構成。

そのため本来なら、作品の評価自体は2部作、両方を観てから判断することになるでしょう。

 なお、申し添えておきますが、私は原作と、それをもとに制作された映画作品を、比較しようと言う、不毛な議論に首を突っ込むつもりは毛頭ありません。

 小説や漫画、そして映画というのは、全く違うジャンルのものなのです。

同じ芸術という「人間の情熱の発露」でありながら、絵画と音楽が、全く違う表現行為であるのと同じでしょう。もちろん、原作の精神は尊重されるべきです。しかし、一旦「映画化された作品」として捉える場合、それはもう原作を離れ「映画としての命」を与えられているのです。

 熱烈な原作ファンは、どうしても「原作通りではない」と、不平不満をおっしゃる方が、未だに多く見受けられる気がします。

「映画はあくまで映画である」ということを、前もってご納得の上で、オープンな気持ちで鑑賞されてみてはいかがでしょうか。

**************

天見谷行人の独断と偏見による評価(各項目☆5点満点です)

物語 ☆☆☆

配役 ☆☆☆☆

演出 ☆☆☆

美術 ☆☆☆

音楽 ☆☆☆

総合評価 ☆☆☆

**********

作品データ

監督   小泉徳宏

主演   広瀬すず、野村周平、上白石萌音

製作   2016年 

上映時間 111分

予告編映像はこちら

「ちはやふる 上の句」予告編

 

 


あやしい彼女

あやしい彼女

2016年4月1日鑑賞

オードリーか、多部ちゃんか、それが問題だ!

 

さて、いま劇場にいらっしゃる、シニアの皆様。そこのあなたですよ、あなた。

もし”映画の魔法”を「あなた自身に掛けることができる」としたらどうされますか?

1つの思考実験ですね。

仮にですよ……

もし仮にあなたが「多部未華子」のルックスと、その「はち切れんばかりの若さ」を手に入れられるとしたら……。

”イマジン”してみてください。

あなたは何をしますか?

本作はそういう映画なのです。

そんな「夢みたいなアホなこと」を”抜け抜けと”やってのけた作品なのです。

その思い切った脚本と、キレのいい演出で楽しませてくれます。

主人公は倍賞美津子さん演じる、瀬山カツさん。

イマドキの高齢者は、なんでこうも元気なんでしょうね?

カツおばあちゃんも、普段からMAXハイテンションです。

ちなみに御歳、73歳。

この人がある日、ちょっとレトロで、お洒落な写真館を見つけます。

その表に飾ってあったのが、あのオードリー・ヘプバーン様の「ご真影」

映画と言う芸術における、まさに”王女様”と言ってもいいですね。

カツおばあちゃんは、かつてオードリー主演の「ローマの休日」を観たことでしょう。

そして、どんなに、どんなに、オードリーに憧れたことでしょう。

ついフラフラと写真館に入ってしまいます。

「いらっしゃいませ」

と100万ドルの笑顔で出迎えてくれる店主。

これが「ぬっくん」こと、温水洋一さんなんですね。

この辺りのキャスティングもいいですね。

そして運命のシャッターが切られました。

パシャ!!

その時、まさに「映画の魔法」が、掛かってしまったのです。

彼女はなんと、20代の若さに戻ってしまいました。

……と、まあ、ここまでは、いわゆる「前フリ」ですな。

 

はて? いつもは痛い肩も、腰も、足も、全然だいじょうぶ。

なんだこりゃ?

カツおばあちゃん、びっくり。

体が軽いよ~、動くんだヨォォ~!

カツおばあちゃん、有頂天です。

もう、こうなったら、やりたい事、全部やり倒してやる!

まずは、このチリチリのオバはんパーマ。

この髪型をなんとかしよう。

二十歳に若返ったカツおばあちゃん。

いや、今や「カツお嬢さま」は、美容室に髪をカットしに行くんですね。

映画好きなら分かるでしょ?

オードリー・ヘップバーン演じる王女様が、こっそり街へ抜け出しましたね。

街をぶらついてローマ観光。

その時見つけたのが美容室。

美容師に髪を切ってもらう、あの名シーンの再現です。

「ローマの休日」のアン王女様は、ロングヘアがあまりお好みではありませんでした。

いちどは思いっきり、髪を短くしてみたかったのです。

ちょっとオネエっぽい美容師が、

「こんなキレイなお髪、本当に、ほんとうに、バッサリやっちゃって、よろしいのネ?」

と冷や汗をかきながら、美しいロングヘアーを

「OFF! OFF!バッサリ!!」と切り落としていくシーン。

オールドな映画ファンにとっては、もう胸が「キュンキュン」します。

その結果……。

オードリーのショートヘアーは、世界中の女性たちを虜にしました。

世界中の女性が、オードリーの髪型を真似しました。

本作でも、なんと多部未華子バージョンの「オードリー・ショートヘア」が見られるわけです。

多部ちゃんのファンとしては、これはもう、涙ものでしょう。

さて、カツおばあちゃん(いや、今やお嬢さん)には、幸恵(小林聡美)という娘がいます。

雑誌の編集やってます。仕事をバリバリやりすぎたのか、夫と別れ、シングルマザーです。

息子の「翼」(北村匠海)は、あんまり才能もないのに、バンドをやっている。

母の幸恵にとっては、我が子の将来が心配。

でも翼くん。そんな母に向かって

「シゴト? ん~、俺、やっぱ、バンドで生きていくから」

なんて夢みたいなことをほざいております。

さて、カツおばあちゃんです。

髪を切り、オードリー・ヘップバーンか? はたまた、多部未華子か? というルックスを手に入れました。

幼なじみの風呂屋の次郎さん(志賀廣太郎)の所へ、偽名を使って転がり込みます。

苦し紛れに考えた名前が「大鳥節子」(オードリーと原節子の合体?!)

この次郎おじいちゃん、若い(若く見える)カツさんを気に入って、風呂屋の二階に居候させることにします。

そんなある日のこと、商店街の「のど自慢大会」が開かれました。

次郎さんは、幼なじみとも知らないで、カツさんを、のど自慢大会に連れて行きます。

カツおばあちゃん、若返って青春を取り戻した気分です。

おもわずステージに上がり、懐かしの昭和歌謡を大熱唱。

その歌声を偶然聞いていたのが、音楽プロデューサーの小林拓人(要潤)。

高学歴、高身長、高収入

全部揃った音楽プロデューサー。

しかもイケメン。これはいけませんねぇ~。

何か危ない雰囲気がしますねぇ~。

映画のその後が気になります。

このイケメン音楽プロデューサー、若くて魅力的な「カツちゃん」が大いに気に入りました。

「存在感が素晴らしい! しかも歌がいい! これは売れる!!」と踏んだのです。

そこでカツさん、孫の翼くんたちと一緒にバンドを組み、デビューしよう、と言うお話になります。

まぁそんな訳でして、本作では多部未華子が「歌う!唄う!唱う!」

もう、たっぷりと楽しめますよ。

ロックバンドのボーカルとしての多部ちゃん。

昭和歌謡まで熱唱しちゃう多部ちゃん。

劇中歌をプロデュースしているのは小林武史さんです。

「Mr・Children」をデビューさせた人です。サザンオールスターズ、桑田佳祐さんとも関係が深い大ヒットメーカーですね。

こうなったら、多部ちゃん、デビューしちゃう?

さて本作は、オードリー・ヘップバーンという、世界的アイドル女優(もちろん実力も折紙つき)への敬愛の念が、たっぷり詰まった作品となりました。

もしあなたが「ローマの休日」という映画が好き、

あるいはバンドや、歌謡曲など、音楽好き。

なにより多部未華子ちゃんが大好き!

ならば、迷わず、映画館へ直行しなさい!!

損はしません。

エンターテイメント作品として、相当、満足度高いです。

何よりこの映画が「いいな」と僕が思う理由は、

「映画って、やっぱり魔法なんだ」ということです。

映画というのは、ほんの束の間、夢見るファンタジーでいいのだ、という事を再確認させてくれます。

フィクションとは「大嘘」です。

「うそ」丸出しです。

でも、その嘘が、とびきり魅力的な夢の世界を広げてくれるのだったら……。

スクリーンで、でっかい大嘘をついても「イイんです!」

その割り切り、開き直り。

本作の「キレの良さ」はそこから生まれたのでしょう。

久々に、映画館で楽しいひと時を過ごせました

多部ちゃんファンなら、間違いなくオススメです。

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天見谷行人の独断と偏見による評価(各項目☆5点満点です)

物語 ☆☆☆☆

配役 ☆☆☆☆

演出 ☆☆☆☆

美術 ☆☆☆☆

音楽 ☆☆☆☆

総合評価 ☆☆☆☆

**********

作品データ

監督   水田伸生

主演   多部未華子、倍賞美津子、要潤、小林聡美

製作   2016年

上映時間 125分

「あやしい彼女」予告編映像はこちら


奥付



2016・4月号 映画に宛てたラブレター


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著者 : 天見谷行人
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