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 「 退院したその足で、ホームセンターに行くんですよ先輩―――びっくりしちゃって。」

「同じメーカーの監視カメラ購入して、鑑識の若い子に頼んで細工して・・・・。」

「バーナーで焼いたり、黒い塗料で汚したり・・・・。」

「マネージャーの仕業だってどこで分かったんですか?」

見てたのよ、監視カメラが最初に破裂するのを―――。ストレージが直接インターネットに繋がっていて、ログインコードが工場長(マネージャー)の指紋だって、電気技師が言ってたじゃない。」

佐伯署の応接室で婦人刑事二人は、刑事部長と楽しく会話しています。

「ところで黒木、まだ答えを聞いてないんだが・・・・。」

「工場を見学した理由ですか?―――工場内部の放射線を計りたかったんです。」

と言いながら、ペン型の線量計を差し出した。

「密輸品が出て来てない段階で、専門的な強制捜査の令状を取るのは、それしか無いと思って・・・・。」

「私が、走り書き文字のアイソトープの件を電話したからか?」

「先輩は、その前から文字の意味が二酸化ウランだって見当つけてたんですよ!」

「―――確証は、無かったですけど。」

「その文字のことでね、白河君が撮影した写真には消えかかって写っていなかったようだが、続きがあるそうだ。―――800KG:JUL/9/2025―――というんだが、意味が分かるか?」

「―――2025年7月9日にイエローケーキ800Kg!原始的だけど確実な次回注文書だわ。」

 

一か月後、二人の婦人刑事は再びあの菩提寺を訪れていました。

好々爺の住職は、今日も本堂の板の間で、何事も無かったように煙管の煙草を燻らせています。

「そうかい、そげえな事があったかいのう・・・・。」

「人がおらんけえのう。目配り出来んけえのう・・・・。」

煙草の香りが、祭壇の線香の香りと混ざって、穏やかな時の流れを一層際立たせます。

「戦前は、お国の為ちゅうて砲台造らせちょったが、こんだ知らん士が誰んでん知らん間に、そげえなおじいもん造りよったかい。」

「ほんに、落ちとる葉っぱ一枚一枚にも気い使こうとかなあ、いかんわあ。何があるか、わからんわあ。」

 

 

 

漂着船が引き上げられた岸壁のボラードに腰を下ろして、黒木玲子が呟きます。

「ねえ笑ちゃん、あのガイドの二人どう思う?」

「どうって?」

「あの二人、私たちと同じじゃないかと思うの・・・・。」

「・・・・。」

「最初の爆発の後、耳の聞こえない私たちを、立坑まで引きずって行ったじゃない。」

「一緒に立坑に入るんだと思ったら、そのまま外から扉を閉めて・・・・。」

「自分たちが死ぬのを、他人に見られたくなかったんじゃないかしら、死ぬ時だけは二人だけで居たかったんじゃないかしら・・・・。」

目の前の水際で、猫が二匹じゃれ合っています。

「分かりました先輩!今晩は私が、使い古したあれで、ひいひい泣かせてあげます。大股開かせて、エビぞりにして責めてあげるわ、覚悟なさい!」

 

リアスの夕陽が、二人のシュルエットを紅く紅く染めていきました。

―――終わり。

 

 以上、全てフイックションです。

  


奥付



リアスの夕陽で泣かせてあげる!


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著者 : 南海部 覚悟
著者プロフィール:http://p.booklog.jp/users/tumanaya/profile


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