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「では、犯人は……、」

「犯人なんて存在しないのさ。彼は自分が蟐(クマムシ)だと信じ込んだ。だから呼吸なんかしなくても平気なはずだと思った。元々の学者魂から実験した。きっと彼は最後まで平気だと思って死んだのだろう。微笑みながらね」

車が横浜駅に着いた。明智少年がドアボーイのように、ホームズの降りるドアを開けた。

「うん、犯人はいないと言ったが、強いてあげれば、あんな論文を書いてしまった僕が犯人なのかも知れないねえ」

ホームズはそう言うと車を降り、大きく伸びをした。

私は、

「いや、そんな事はないさ。それにしてもこの国有数の学者が精神の平衡を失って、こんな事になるなんて、なんとも苦い結末だねえ」

と同じく、大きく伸びをした。

「苦い結末か。槞(ゴーヤ)だけに……」

明智少年が誰にともなくつぶやいた。

駅舎の上の青白い暃(まんげつ)が、無表情なホームズの横顔を照らしていた。

 

                                                                                                                            完

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成仏!!チ〜〜ン。


奥付



幽霊文字を成仏させる


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著者 : いたざわしじま
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