閉じる


 

父親の値段

 

 

 

平成28年1月11日()、成人の日にクモ膜下出血で倒れた美緒の父親は、N総合病院で治療を受けていた。だが、美緒は、1月分の多額な治療費を支払うことができなかった。父親には、ほんのわずかな貯蓄しかなく、その貯蓄額は治療費の半額にも満たなかった。2月に入り、気持が少し落ち着き、糸島市役所職員の助言を受け生活保護の手続きを始めたところだった。1月は、突然の入院でパニックに陥り、身動き一つしない無言の父親を見るたびベッドの横で泣いていた。父親が植物人間となってしまったことを聞かされてからは、生きていく意欲を完全に失っていた。

 

 

 

現在、脳と心臓は、生命維持には支障をきたすことの無い程度に機能していたが、声帯と手足の筋肉を動かす自律神経中枢の損傷のため、患者は植物人間の状態にあった。心臓においては、心不全による心停止の恐れがあったが、今のところ心臓機能は安定しており、特別な治療施術をする必要は無いと判断された。また、今後、脳神経薬物治療を行ったとしても、通常の筋肉運動を行えるまでの回復は望めないと判断された。

 

 

 

そのころ、五官神経から伝達される刺激と脳内における電気反応、化学物質反応の関係を研究していた主治医の明石(あかし)脳神経外科医は、新たな人体実験のためのモルモットを探していた。そこで、主治医は、今後、長期にわたる脳神経治療を無償で行うことを条件に、大脳皮質、大脳辺縁系、生命に危険を及ぼさない程度の脳幹の実験を行わせてもらうことを美緒に申し出ることにした。

 


 

2月6日(土)、入院している父親の今後の治療のことで相談あると主治医に呼ばれていた美緒は、N総合病院の5階にある主治医室のドアを暗い表情で、コン、コンとノックした。主治医の静かな返事が返ってきた。「どうぞ」美緒は、お化け屋敷にでも入るように恐る恐るゆっくりとドアを押した。そっと、ドアから顔を覗かせるとイケメン主治医が、ソファーの横でホストのような上品な挨拶した。「いらっしゃい。そんなに緊張なされなくてもいいんですよ。いいお話ですから、さあ、こちらへ」

 

 

 

美緒は、ほんの少し笑顔を作り、ホストクラブに始めて足を踏み入れるように、ぎこちない足取りでグリーンのソファーにゆっくり近寄って行った。「さあ、お座りください。お父さんの治療のこともですが、今日は、美緒さんの将来についてもお話しようと思い、お呼びしたのです」オレンジ色のレザーミニスカートをはいた美緒は、恥ずかしそうな表情でゆっくり腰を降ろし、両手を両膝の上に置き、主治医と正対した。一瞬、主治医と目が合うと、ショーツを隠すようにキュッと股間を閉じた。そして、美緒は、有罪判決を待つ被告人のように、ガクンとうなだれてしまった。

 

 

 

大きく胸を張った主治医は、美緒を見つめ、ニコッと笑顔を作った。「突然のことで、本当にご心配なされたでしょう。お父さんの容態は、今のところ問題ありません。でも、残念なことですが、先日お話したように、お仕事ができるような健康な状態に、回復する見込みはありません。また、これから先、最先端医療を用いた長期にわたる治療をせざるを得ないでしょう」

 


 

美緒は、面会に行った1月23()に、父親が植物人間になってしまったことを主治医から聞かされていた。だから、冷静に話を聞くことができたが、支払うことができない今後の治療費のことを考えると胸が痛くなった。うつむいていた美緒は、頭を持ち上げると一言、はい、と返事した。言い終えると、コクンとまた頭を落とした。「美緒さん、元気を出してください。美緒さんは、まだ、高校生です。暗い顔は似合いませんよ。美緒さんの将来のことを考えましょう」

 

 

 

美緒は、力強く発せられた将来と言う言葉の響きにハッとした。頭を持ち上げた美緒は、つぶやいた。「将来、ですか?」主治医は、大きくうなずき、明るい声で話しかけた。「そうですとも。美緒さんは、お父さんと二人暮らしでしたね。お父さんが、入院された今、美緒さんは、一人ぼっちになりました。でも、心配は要りません。治療費も今後の生活費も私に任せてください。美緒さんが、お仕事に就かれるまで、私が面倒を見ます。元気を出してください」

 

 

 

美緒は、夢のような話が信じられなかった。美緒は、疑うような表情で尋ねた。「え、いったいどういうことですか。どうして、そんな援助をしてくださるのですか?」一瞬、援助交際のことが頭をよぎった。主治医は、美緒の不安を察して、具体的な話をすることにした。「美緒さん、心配なさらないでください。ただ、こちらにも条件があるのです」美緒は、主治医の下心を察して、小さくうなずいた。

 


 

治療費が支払えない今、自分ができることは、援助交際以外ないと覚悟していた。もし、体を求められれば、素直にうなずく覚悟もできた。美緒は、OKサインとしてほんの少し股間を開き、うつむいたまま返事した。「はい、先生の言われるままにいたします」主治医の視線は、OKサインをすばやくキャッチした。そして、そ知らぬ顔で静かに話し始めた。「美緒さん、お願いがあるのです。美緒さんにとって、苦渋の決断を迫られることになるのですが、お話します」

 

 

 

美緒は、自分の体をささげてでも、父親を治療してもらう決心をした。「どんなことでしょうか?どんなことでも、やります。父を治療してください」美緒は、主治医の視線を誘導するかのように、さらに股間を広げた。主治医の視線は、美緒の股間に突き刺さっていた。「美緒さんに分かっていただけるか、ちょっと不安なのですが、医学上必要とするすべての治療を病院に任せていただきたいのです」

 

 

 

美緒は、主治医の言っている意味が、よく理解できなかった。「どういうことですか?難しいことは、分かりません」主治医は、大きくうなずき返事した。「お父さんを使った人体実験をさせていただきたいのです」人体実験と聞いたとき、全身に震えが走った。そして、一瞬、左右の太ももをキュッと閉じた。「え、人体実験ですか。体をバラバラに切り裂くんですか?内臓も取り出すんですか?」

 


 

美緒の頭の中のスクリーンには、陳列棚にきれいに並べられたバラバラに切り離された手足と切り取られた父親の頭が、鮮明に映し出されていた。主治医は、顔を左右に振り、ゆっくりと説明した。「いいえ、そんなことはいたしません。人体実験とは、脳機能の実験なのです。解剖はしないのですが、脳の実験には、予測不能な危険が伴うのです。そのことを了解していただきたいのです」

 

 

 

美緒は、危険が伴うという意味がよくわからなかった。しかし、治療費が支払えない今、断ることができなかった。「はい、治療は、先生にお任せいたします。それだけで、いいのですか?」生活費の援助を受ける限り、後になって、援助交際を求められるのではないかと思ったが、たとえそのようなことになっても、潔く、体で支払おうと腹をくくった。美緒の股間は、再び、徐々に開き始めていた。

 

 

 

「すべての治療を任せていただければ、それでいいのです。美緒さんは、安心して、勉学に励んでください。もし、看護師を目指されるのであれば、N看護学校に進学なされてください」主治医の優しく甘い言葉は、徐々にワレメに疼きを起こさせていた。ふっくらと盛り上がったワレメの形をくっきり映し出しているシルクのショーツは、じんわりと蜜ツボからにじみ出てくるヨダレで濡れ始めていた。

 



読者登録

サーファーヒカルさんの更新情報・新作情報をメールで受取りますか?(読者登録について