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婦長は、あの日の実験を鮮明に思い出していた。主治医は、録音されたAV女優のよがり声を被験者の耳元で聞かせ、自分は、被験者の顔にまたがり、ワレメからこぼれるヨダレを鼻孔にこすりつけ、その匂いをかがせた。そして、ペニスが徐々に勃起し始めると、自分は、被験者の右手をつかみあげ、ブラをはずしたバストに手のひらを押し当て、3分ほど、ゆっくりこすり続けた。

 

 

 

ペニスの勃起度が80パーセントほどになったとき、自分は、すばやく被験者の股間に割り込み、目一杯口を大きく開け、黒い亀頭を口の中に押し込んだ。舌先で、膨張した亀頭をゆっくり何度も嘗め回していると、さらに大きくなった黒い亀頭の先から、ビュッと精液が飛び出した。そして、口に含んだ精液をビーカーに吐き出した。視線を主治医に向けたとき、鋭い目つきの主治医が、心電図を確認していた。そのときだった、突然、鼓動を表す波形が直線に変わった。すばやく、主治医は心臓マッサージを行ったが、再度、鼓動は起きなかった。

 

 

 

「あの植物人間の人体実験は、医学の進歩に貢献したのね。あなにとっては、私とのセックスも人体実験だったのよね。もう、39になるわ。私を被験者にするのは、この辺でいいでしょ。これからは、ピチピチの若い看護師を被験者にすればいいわ。きっぱり、別れましょう」主治医は、予想しなかった別れ話を聞かされ、窓際の婦長にさっと目をやった。「おい、なにを言い出すんだ。約束は必ず守る。もうしばらくの辛抱だ」

 


 

婦長は、振り向くと、主治医にいやみを言った。「いつもの言い訳は、もういいわ。守る、守るって、いつまで待てばいいのよ。もう、10年も待っているのよ。女には、待てる限界があるの。男には、それが分からないんだわ。奥さんは、国会議員の娘でしょ。あなたは、奥さんと別れることができないのよ。もう、これ以上、待てないわ」主治医は、左手のブランデーグラスを置いて、すっと立ち上がった。「妻の死は近い。頼むから、もうしばらく待ってくれ。必ず、結婚する。信じてくれ、美佐子」

 

 

 

婦長は、顔を引きつらせ懇願する主治医にゆっくり近づき、震える唇に軽く右手の人差し指を押し当てた。「本当なの?奥さんの命は、いつまで?もう、これ以上は、無理よ」主治医は、婦長の耳元でつぶやいた。「あと1ヶ月だ。きわどい抗がん剤の実験をする。言ってる意味が、分かるだろ。もう少しの辛抱だ。愛している、美佐子」婦長に数々の弱みを握られている主治医は、婦長と結婚せざるを得なかった。二人の唇が静かに重なると、お互いの舌は、愛を確かめるように激しく絡み合った。

 


この本の内容は以上です。


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