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治療費が支払えない今、自分ができることは、援助交際以外ないと覚悟していた。もし、体を求められれば、素直にうなずく覚悟もできた。美緒は、OKサインとしてほんの少し股間を開き、うつむいたまま返事した。「はい、先生の言われるままにいたします」主治医の視線は、OKサインをすばやくキャッチした。そして、そ知らぬ顔で静かに話し始めた。「美緒さん、お願いがあるのです。美緒さんにとって、苦渋の決断を迫られることになるのですが、お話します」

 

 

 

美緒は、自分の体をささげてでも、父親を治療してもらう決心をした。「どんなことでしょうか?どんなことでも、やります。父を治療してください」美緒は、主治医の視線を誘導するかのように、さらに股間を広げた。主治医の視線は、美緒の股間に突き刺さっていた。「美緒さんに分かっていただけるか、ちょっと不安なのですが、医学上必要とするすべての治療を病院に任せていただきたいのです」

 

 

 

美緒は、主治医の言っている意味が、よく理解できなかった。「どういうことですか?難しいことは、分かりません」主治医は、大きくうなずき返事した。「お父さんを使った人体実験をさせていただきたいのです」人体実験と聞いたとき、全身に震えが走った。そして、一瞬、左右の太ももをキュッと閉じた。「え、人体実験ですか。体をバラバラに切り裂くんですか?内臓も取り出すんですか?」

 


 

美緒の頭の中のスクリーンには、陳列棚にきれいに並べられたバラバラに切り離された手足と切り取られた父親の頭が、鮮明に映し出されていた。主治医は、顔を左右に振り、ゆっくりと説明した。「いいえ、そんなことはいたしません。人体実験とは、脳機能の実験なのです。解剖はしないのですが、脳の実験には、予測不能な危険が伴うのです。そのことを了解していただきたいのです」

 

 

 

美緒は、危険が伴うという意味がよくわからなかった。しかし、治療費が支払えない今、断ることができなかった。「はい、治療は、先生にお任せいたします。それだけで、いいのですか?」生活費の援助を受ける限り、後になって、援助交際を求められるのではないかと思ったが、たとえそのようなことになっても、潔く、体で支払おうと腹をくくった。美緒の股間は、再び、徐々に開き始めていた。

 

 

 

「すべての治療を任せていただければ、それでいいのです。美緒さんは、安心して、勉学に励んでください。もし、看護師を目指されるのであれば、N看護学校に進学なされてください」主治医の優しく甘い言葉は、徐々にワレメに疼きを起こさせていた。ふっくらと盛り上がったワレメの形をくっきり映し出しているシルクのショーツは、じんわりと蜜ツボからにじみ出てくるヨダレで濡れ始めていた。

 


 

多額の治療費の悩みがなくなり、肩の荷が下りたのか、今までの胸の息苦しさがパッと消えた。だが、一人ぼっちになったことを改めて自覚すると、寂しさがこみ上げてきて、涙がこぼれそうになった。「父の治療、よろしくお願いします。ただ、今は、家賃も水道代も払えないほど、貧乏なんです。まったく、お金が無いんです。食べていくお金も、これから、どうしていいか・・」美緒は、両手で顔を覆い、涙を隠した。

 

 

 

「そうでしたか。それは、お困りでしたね。でも、もう安心です。今月の生活費は、すぐにお渡しします。そして、今まで通り、勉学に励んでください。そうだ、もしよければ、N看護学校の女子寮にお入りになられてはいかがですか。寂しさが、まぎれるのではないでしょうか」落ち込んでいた美緒であったが、女子寮に入れると聞いて、笑みが浮かんだ。「え、女子寮に入れるんですか?お願いします。一人ぼっちでいると、寂しくて涙が出てきます。お願いします」

 

 

 

「さあ、涙を拭いて」主治医は、ハンカチを手渡し、笑顔で返事した。「早速、引越しなさってください。引越し費用は、私に請求されて結構です。どんなことでも、相談に乗ります。いっしょに頑張りましょう」主治医の優しい救いの言葉で、地獄から救われたような心持になった。フ~~、と一息つくと、父親との面会について尋ねた。「治療は、病院にすべてお任せしたいと思いますが、面会は、これからも、今まで通り、できるのでしょうか?」

 


 

主治医は、笑顔でうなずいた。「いいですとも、面会は、今まで通りなされて結構です。これからも、お父さんを励ましてあげてください。でも、今後は、美緒さんのみの面会とさせていただきます。その点は、ご了承ください」美緒は笑顔でうなずいた。「本当に、ありがとうございます。何のお礼もできませんが、今後ともよろしくお願いします」甘い言葉に酔ってしまった美緒は、何の抵抗もなく、優しいイケメン主治医の誘惑を受け入れていた。

 

 

 

主治医は、人体実験のモルモットを手に入れることができたことにニンマリした。「こちらこそ、治療を任せていただいて、感謝しています。お父さんは、脳医学に多大な貢献をしていただくわけです。長生きされるように、最善を尽くしてまいります」脳医学と言われてもまったく理解できなかったが、主治医の優しい笑顔を見ていると元気だったころの父親と話しているような気持になった。

 

 

 

バレンタインデーの謎

 

 

 

 建国記念日の2月11日()に、沢富刑事はN総合病院を訪れた。沢富刑事の訪問目的は、美緒の父、栗原隆治(44歳)との面会だった。しかし、彼が植物人間で、面会謝絶であることを婦長から知らされ、ほんの3分でいいとお願いしたが、それでも拒絶され、やむなく面会することなく引き返した。そして、3日後の2月14日()、バレンタインデーに、栗原隆治は心不全による心停止で死亡した。死亡推定時刻は、午後6時から午後7時の間と推定された。第一発見者は、子供の栗原美緒(17歳)。彼女は、午後7時16分にベッド横に設置してある緊急ボタンを押した。

 

 

 


 

栗原隆治の死亡原因は、心不全による心停止と判断され、病死として処理された。この病死に関しては一切の疑問は生じなかったが、彼が、覚せい剤取引にかかわっていた疑いがあったことから、沢富刑事は、任意の事情聴取として娘の栗原美緒と面会し、死亡発見時の様子を聞きだすことにした。2月20日()、沢富刑事は、美緒と午前11時にマック前原店の窓際の席で待ち合わせをした。

 

 

 

 美緒は、いつもは、土曜日に父親の面会に行っていたが、2月11日()は、建国記念日の祭日だったため、面会に行った。その日の午後2時ごろ、面会から帰るとき、浅黒い顔の刑事が病院のロビーで顔をしかめて婦長と話しているのを垣間見た。刑事とは、そのときのたった一度の面識だったが、マック入り口横のカウンターから窓際を一瞥して、浅黒い顔の男性があのときの刑事だと即座に分かった。

 

 

 

美緒は、オレンジジュースをカウンターで購入し、カップを右手に持って、窓からぼんやりと国道202を見つめている刑事に近づいた。「刑事さんですね、お待たせしました」刑事は、声の方向に振り向いた。刑事は、必死に作った笑顔で声をかけた。「あ、美緒さん、お待ちしていました。どうぞ」刑事は、即座に立ち上がり、自分の前の席の椅子を引いて、背が低くかわいい美緒に笑顔を送った。美緒も笑顔を返し、腰掛けた。

 



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