閉じる


<<最初から読む

19 / 42ページ

す・・・すっぱ!

何かはさっきよりほんの少しだけ、ウサギの近くに座り、おいしそうに幸せそうに自分のおにぎりをほおばっていた。

ウサギはそんな何かを横目で見ながら、意を決して、パクリとおにぎりをほおばる。

ウ「・・・。」

思ったよりもおにぎりは地味な味だった。だけど、どこか優しくて元気が出るような味だった。

ウ「す・・・すっぱ!」

何か「あ、ごめん。うめぼしだめだったかい?」

 

 

 


ありがとう。またね。

ウ「ココア、ココアー!」

ウサギはうめぼしのすっぱさにどうしても甘いものがほしくなって、おにぎりを大事に抱えて走り出す。

ちょっと走ったところでピタッと止まり、何かの方に振り返る。

ウ「ありがとう。」

何か「ありがとう。またね。」

ウサギは涙を流しながらニッコリしたあと、また一目散に走り出した。

何か「ともだちになれるかな・・・。」

何かは小さくつぶやき、走り去るウサギの背中を見送り、ひらひらと手を振った。

 

 


仲良くなれるかな。

またある日、何かは今日も山の方に向かって歩いていた。

いつからか、朝の修業と昼の修業のあいだの短い時間、日当たりの良い山の上でおにぎりを食べるのが習慣になっていた。

何か「今日は会えるかな。」

何かは今日もおにぎりをふたつ布袋に詰めて、スタスタと山への道を歩いた。

何か「おっ。」

山の頂上には一羽のウサギが座っていた。

 

 


そこに枝あるよ。

何かがウサギにどう声をかけようか迷っていたら、

ウ「大きい枝そこにあるよ。」

ウサギは親切に教えてくれた。

何か「ふふっ。」

何かは少し笑って、

バキッ!

大きめの枝を踏み抜いた。

ウ「やあっ!」

何か「ふふっ。こんにちは。」

何かはウサギのすぐ隣に腰かけた。

 

 


じゃーん!

何かはゆっくりと布袋からおにぎりを出す。

何か「今日もおにぎりふたつ持ってるんだ。一緒に食べよう。」

ウ「じゃーん!」

肩にかけている水筒をすごい勢いで見せるウサギ。たまらず何かはひっくり返りそうになる。

何か「なんだい?」

ウ「ココア!」

ウサギの目はキラキラと輝いている。

 

 



読者登録

ジェニュイン黒田さんの更新情報・新作情報をメールで受取りますか?(読者登録について