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耳がみょーんとした白い何か。

白くてもこもこしている何か。マシュマロみたいにフワフワでさわるとたぶん柔らかい。そんな何かが山の頂上に座っている。みょーんと長いのはたぶん耳で、敏感にひくひくと動いている。

その座っている何かは、おそらく私たちの世界の言葉で表現すればウサギと呼ばれることになるだろう。

しかしこのウサギはまだウサギという言葉を知らない。

ウ「何かいる・・・。」

 

 

 



気づかれた!

ウサギは今までいなかったものと接触するのをすごくこわがった。いつもの道を遠回りすれば何事もない、いつものウサギの日常に戻れる。

ウ「何もいなかったことにしよう。」

ウサギはそろりそろりと遠回りしようとする。

バキッ!

ウ「あっ。」

落ちていた大きめの枝を踏んづけてしまったウサギ。それなりの大きな音を立ててしまった。

山の頂上に座っていた何かが、その音に敏感に反応しウサギの方を見る。

ウ「ギクッ。」

 

 


やあ!!

何か「やあ!!」

その何かは山の上からちょっとだけ手を振って、大きな声でとても簡単にあいさつをした。

ウ「あっ・・・。」

ウサギはとてもドキドキしてしまって、あいさつも返さずに思わずタカタカと来た道を走って逃げるように戻っていった。

 

 

 


あれは、なんだったんだろう・・・?

ウサギはいつもより短い道で急いで家に帰ってきてしまったので退屈になってしまった。

退屈になると忘れたいこと、なかったことにしたいことも思い浮かぶ。ウサギはさっき遭遇した何かのことを思い出していた。

白い体、長い耳、ちらっとしか見てないが、ほっぺには特徴的な☆の模様がついていた。

そしてなぜかとても興味をそそられる白くて三角の物を手に持っていた。

ウ「あれは、なんだったんだろう・・・?」

ウサギはやることがないので早々におふとんをかぶったがドキドキしてなかなか眠れなかった。

 

 

 


黄色いお花畑。

またとある晴れた日。ウサギは今日も、歩いたり走ったりしようと思って出かける。今日もどんどん行く。どうも今日の道はあの何かと遭遇した山の頂上への道につながっていそうだ。

ウ「違う道にしておこうかな・・・。」

いつも気の向くまま、何も考えずに道を進んでいる。気にかかることがあるからといって、自分の道を変えるのも何だか悔しい。ウサギは考えるのをやめて、そのまま進み続けた。

 

 

 



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