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04.【九】

 

暗い路地に 真っ赤な着物の 妖しのひと
切れ長の瞳で微笑み みるみる奥へ駆けていく


不思議の案内 湧いた霧の向こうは金色の雲

野に光受け立つ姿 みつけた人は 幸のしるしじゃ と
諸国を旅し 美女に化けては 王たちをとりこにし
お山にしばし休んでは、古老の獣や木々と語る

まこととうそと幻想へのあこがれが 風とうずまき

気付けば 霧の野 紙と縄した 岩の上
九尾の透けた 大狐さん ふわふわした 尾をきままに
真紅の瞳 微笑むような輝き

なんぢ わがかげ いかにみえきや

暗い路地に尻もち 優雅だが どこかさびしげな声 響いた
 
・ ・ ・
 犬先生:例えば私は黒い犬的な何かだが、何者かは混淆…アヌビス殿に似せた姿は、りすペクトコスのような物だし

 ラクシャさん:その姿、こすぷれ だったんだ…また新たな謎がっ


05.【荒野】

 

厚い雲の下 荒野の夜に、鎖を引きずる音
迷い道の十字路で 黒い巨犬 炎の息を吐きつつ

しかし ふっと 鋭く赤い目 まるくなり
なんだ、久しいじゃないか と 意外な声

生まれた家 何かの跡地 見下ろす丘で
孤独の暇を 黒い衣の子と遊んだ
よもや 夜に彷徨う精霊さんとは
かわりものの 功名かな?

そういえば、と道をたずねた
どうもその家 帰れないんだ わかるかい?

あぁ それなら 俺もわかるさ
なぜなら きみは…

真っ赤な丸い目 おやつを貰える 仔のような輝き 

・ ・ ・
 犬先生:私も昔、道を尋ねたことがあるよ。(不思議犬仕様のクッキー食べつつ)
 ラクシャさん:ほんとうに神出鬼没だなぁ、きみ(クッキーの小袋が開かない)


06.【雨】

 

さぁさぁと降る水粒に おおわれた闇
ぬかるみを こころもとない 灯りひとつ

と 足元 じっとりと 包まれる感触
ぼんやり丸い灯りの下 丸いずぶぬれ ひっついている
毛は房になり 潤んだ黒い目 どこか底なしの 何ともつかぬ仔
小さな足で ようやっと けんめいに 未知の声で 鼻をならし

世界 毎日 いろいろうまれ たえていく
たえるむすうの ものたちのうち いくつかは
こうして怪に なるのだろうか

同じじゃないから しゃべらないから 少し変わった所があるから
賢くないとは たしかな条かな?

ひとぶんの、いきているぶんの、時代ぶんの、地方ぶんの、
まちぶんの、おやぶんこぶんぶんの、みそっかすぶんの、いえでぶんの いち

ひざではさんだ 電池切れそう 懐中電灯 照らされて
りょうてでだっこされた怪の仔 満足げな あくびして ばしゃっとこまかな 水の粒

雨音 耳に戻り 呼ぶ声どたばた
ふっくらな手の きつい平手と はぐ食らい 
言わなかった心細さの糸が切れ

どうどうと流れ出す あったかい涙の混じる闇 
・ ・ ・
 犬先生:ぶるるふ足寒い…コタツの温度、上げてはくれんかね?

 ラクシャさん:え、さっき上げたよ?とりあえず、はい お茶。


07.【狼人】

 

山中 木造りの 小さな家
外では遠吠え 中では シチューの香りとお腹の鳴る音
暖炉に集まり 手をかざして ごはんのじかん 待っている

きょうは どうしたろうね やけに遠吠え きこえてくる
このごろは たいへんだから でも おまもり あるもの
生まれ持った 牙と、爪と、夜を見る眼 それに耳

くるしみもだえ 獣の姿に変わる人
いつからか どこからか

ある地ではおばけ ある地では戦士の力
故郷の山々は素敵だけれど
目ざとい大勢の「正義」が 減りゆく種族 追い詰める

でもかれらには ひとの忘れた力が宿る
野山飛び駆け 眼をひからせ
唸り吠え飛び掛り 戦い 守り 失い やっと得る
昔は大群 いまや どれだけか

だからこそわかる だいじさもまた


ひげもじゃ ぼさぼさ 葉っぱとすり傷の とうちゃん ご帰宅
おいしげなおみやげ もって帰った
子らはすっかり仔狼 転げてはしゃぎ お母さんも 尻尾ふってる 

山中の家から ちっちゃな 遠吠えがっせんと 煙突の煙

・ ・ ・
 犬先生:ふーっうまそうな ODEN である!がつがつあついあついっ

 ラクシャさん:ほらほら、猫舌なんだから気をつけないと。


08.【仙】

 

叩きつけるように吹き抜ける 風の峰
おとなしい犬と髪の長い人 座っている

犬 土ほじくれば 人 呼吸を長く整え
くねくね寝そべるそば 舞うように歩き
ごはんの食材 こだわって

百年ずつ 経るうちに
二者はだんだん 雪色に変わり

すべてがうつろう空しさと
生きる雲を呼び 乗って空を行く術 心得た

めざすは角の山
早く仙になりたくて なれなくて 闇に墜ち 
暴れる巨怪となった教え子 鎮めんと

まだまだ ずっと 未完成
しかしだから こやつと どこまでも

では 参りましょう と振り向く
白の豹紋 赤い星を額に得た金眼の犬

・ ・ ・
 犬先生:いまこの コタツの中には、何が入っているでしょうか。

 ラクシャさん:さて何かな…あれ、どこにも足がつかない…



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