閉じる


<<最初から読む

2 / 15ページ

であい

 「なんて名前だったかしらね、。。 はは、そうなのよ、当時もその先生の名前知らなくて、ただいつも”先生、先生”って呼んでたわね。」


 。
 。
 。

 −−がらがらがら−−

 授業のチャイムが鳴って、その後すぐに”先生”は入ってきた。

 (簿記の授業はどんな先生かな?)

 ふっと、なつ代は戸の所に目をやった。

 −−ばちばち−−

 先生もなつ代の方をみてて、目が合ってしまった。

 (ふむふむ、中々、背丈も高くて、ハンサムじゃないの)
なつ代は変に関心してしまった。
 
 先生は黒板の前に立つと、自分の名前を黒板に書き始めた。


 ( 白 岩  喜 由 )

  
 「皆さん、初めまして。広島からやってきました、白岩(しろいわ)と言います。授業を受け持つのは二度目ですが、張り切ってますので、どうぞよろしく!」

 勢いよく、”先生”は自己紹介を始めた。
 
 なつ代は、
 (しろいわ、、下の名前なんて読むのかしら。言ってないじゃない。  き、、、ゆ。 きゆ?! かな? まぁ、きゆ先生でいっか)
 
 実はなつ代、病気が原因で一年留年をしている。それにも関わらず、漢字が読めずに居た。情けない。。と自分で思いつつ、あっけらかんとした彼女の性格から、先生の名前は彼女の中で”きゆ先生”になってしまった。


 (きゆ先生)

 (きーゆ先生)

 (きゆーー先生!)

 (きゅ先生! 変な名前!>v<)


 なつ代は授業に上の空でいた時、その”きゆ先生”がなつ代の
所にやってきた。


初かいわ

 「君は、。。山村、なつ代くんか。何か質問があったら、手をあげてくれよな。」

と、きゆ先生はなつ代の名札と名簿を照らし合わせながら、言った。

 なつ代は、ハッと我に返り、何を思ったのか机の中から[そろばん]の教科書を出して、

 「前のそろばんの授業でココとココの意味がわからなかったのですが、教えてもらえますか?」

と今の授業に関係ない事を聞いてしまった。

 「はは、まかせとけ。」と先生は笑いをこらえながらも、快く教えてくれた。


 先生となつ代の初めての会話だった。


ぐうぜん?

 

 

 ーー放課後、

「なつ代、一緒に帰ろ」

 なつ代の大の親友、里美が下駄箱の所でなつ代に声をかけた。

「うん、ちょっと待って、く、靴がはけない」

 ははは、と笑いながら校庭に出ていくと、
桜が満開になっている所に目が行った。

 青い空を背景に、太陽を目指して咲いている桜はとても眩しかった。

「先生ー!!」

 里美が後ろを向いていきなり叫んで、手をふった。

 その先には、きゆ先生が二階の窓からこちらを見ていた。


 (もしかして、きゆ先生もこの桜の木を眺めていたのかな?)

となつ代は思ったらなぜだか、うれしくって笑えてきた。


 「はははー」


 「えー何笑ってるの、なつ代ー!」
と里美が言っても、笑いがとまらないなつ代だった。


えくぼ

 それから、なつ代はきゆ先生の授業が、なんとなーく楽しみになってきた。

「今から教室まわって行くから、質問がある人はどんどん聞いてください」

 きゆ先生の声がなつ代の耳に響いた。

(あ、昨日わからなかった所きかなきゃ)

 なつ代がノートをめくっている間に、きゆ先生がやってきた。

「きゆ先生、ここってこれで合ってますか?」

 つい[きゆ先生]と言ってしまって、なつ代はハッとした。

「ん?ああ、はは、今日はそろばんの質問じゃないんだな」と笑ったので、なつ代は、
 
(ほら、やっぱり”きゆ先生”でよかったんだわ)

と違う意味で笑ってしまった。そしたら、きゆ先生が

「お、なつ代くんのえくぼ可愛いな」と言ったので、なつ代は、

(あら、この人、先生のくせにして生徒に可愛いですって)

と心の中で思ってみたが、照れくさくもあり、なんとなく、
嬉しかった。



その日の帰り道、お店のガラス窓に写った自分の顔をみて、にこって笑ってみた。

 (なかなか、可愛いかしらね)

っとその時、ぶおーん、と車がやってくる音が聞こえた。

「なーに一人で、にやけてるんだ?」


 きゆ先生だった。

 

 

 


ふたりきり

 車一つも通らないような道路というより田舎道に、きゆ先生は車から顔を出して、なつ代に呼びかけた。

 一人で笑っている所を見られたのもあって、びっくり恥ずかしいなつ代は、

 「きゆ先生?!なにしてるんですか?」

とちょっと裏返ったような声で聞いてしまった。

 「ちょっとこっち側に用があってな。なつ代君の家はこの先なのか?よかったら送っていこうか?」

きゆ先生がそう促すと、[ラッキー!]と思ったなつ代は車に飛び乗った。



 ふわ、

 (あ、なんか海の香りがする)

 車内はなんだか爽やかな、潮の香りがしていた。



 「きゆ先生は、きょうだい何人いるんですか?」となつ代は質問してみた。

 「俺は一人っ子だ。妹でも欲しかったんだけどな、」

 「じゃあ私がきゆ先生の妹になるよ」

 「ははは、こりゃ元気な妹だな」

 
 話をしている内に、なつ代の家に着いた。

 
 「きゆ先生、ありがとうございました!」

 「おう、質問があったらまた言えよ!ははは」

 
 きゆ先生が、行った後、初めての[ふたりきり]に少し緊張していたなつ代は、もっともっとお話したい気持ちで沢山になった。


 「。。。ん?そういえばこの先に何があったっけ?」


 畑とさとうきび畑、そしてその先の先には空と海が青く輝いていた。

 



読者登録

mika yo.さんの更新情報・新作情報をメールで受取りますか?(読者登録について