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あとがき

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teoria

本書を一般的な価格に設定したならブロマガ購読者と書籍購読者の間に不公平が生じることから、おおよそ購読料に拮抗させたことをご容赦頂きたいと存じます。

これにより間違っても大量に売れることはなくなったのでしょうが、僕は作家として食べていく気も、言論で一儲けする気も毛頭なく、むしろ敷居を高くすることにより「閉鎖的言論空間」というコンセプトを堅持し、自ら出版の泡沫となることにより安全が担保できると考えるのです。早い話、売れなくて結構なのです。

 

ニーチェの「ツァラトゥストラ」(第四部)は自費で40部のみが印刷され、そのうち市販されたのは僅か7部に過ぎず、スタンダールが「赤と黒」の末尾にTo the happy Fewと記したのは大衆の理解を得られないことを先覚していたからであり、つまり時代のリテラシーを超える書物は時代によって評価されることがなく、いわば発掘され資源化するまで社会の底流に潜む文化の鉱石なのです。

 

ところでモノの価値とは極めて相対的であり、本書が高いのか、安いのか、という問いに対しては断固として後者であると答えます。これは世間にありがちな暴露本あるいは体制批判本の類ではなく、マルチテクスチャ(社会科学、政治科学、経済科学などの諸側面的)に社会現象を分析した科学書であり、つまるところ経済アナリシスの資料としても第一級品であるからです。

 

これまで過去の著作において予測した為替、株式、通貨、地価などの動向、法律群の制定などは90%以上的中しているのであり、その精度は市販のビジネス書など全く比するものではありません。大変不遜ではありますが、理性密度は日経新聞10年分以上でしょう。

 

現実としてコアな読者は拙著の所見に基づいて資産の処分や転化に踏み切り、莫大な毀損を回避するばかりか増殖すら果たしたのであり、その意味において本書は思想書であると同時に実用書であり、哲学書であると同時に実践書であるのです。

 

そしてこのような本書の威力とは、「筆者が自分の頭で考えない」ことによるのだと思います。

諸現象はネグリ、クライン、ボードリヤール、チョムスキー、ヘーゲル、フッサール、デカルト、オーウェル、フロム、ヴェーバーなど数多の「巨人たち」のテオリア(観想)に濾され意味化するのであり、筆者の役割とは主題に従いそれらを整理し統合するに止まるのです。だからこそ自身は学識者ではなくコラージスト(思想と情報と言語を紡ぐ者)を自称するのであり、逆説的に<超越的知識者連合>が上梓する本書は最強無比と言えるのかもしれません。

 

なおコンテンツは2015年2月から7月の記事を主体とし、「SLAUGHTER HOUSE」の小論を全面的に書き直し解説文として加えたものです。あらためてテーマとは我々の社会を呑み込む脅威の分析であり、その背後にあるロゴス(構造と力学)の解明であり、エピステモロジー(何が事実かを認識するための方法論)の獲得であり、タナトロジー(人間生命の尊厳を深く考える思潮)の追究であり、そして極めてハイパーモダンな実存哲学(我々がどのような世界に、どのように存在しているのかを問う思想)の探究なのです。

 

カバーの芸者然とした異形の者は僭称(偽って名乗ること)のシミリ(直喩)であり、ニホン人を偽装する者たちのメタファ(暗喩)であり、変装する略奪者のシニフィアン(記号的表現)であり、狂いを狂いとして触知できない魂のシニフィエ(意味されるもの)であり、それはすなわち彼らであると同時に我々であるというシーニュ(一対の記号)であり、そしてもはや時代はそのようなグロテスクから目を背けることを許さないのです。 

                                           響堂雪乃

 

                                           

 


引用・出典

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