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残り一ヶ月で次の就職先を見つけなければならなくなった"小鳥"は、

( もしも就職先が見つからずに無職になっちまったら・・)

そんな不安を少しでも軽くする為に、夜はスナックでアルバイトを始めた。

「 "ワカメ"ちゃぁん!」

「 はい 」

「 こちらは○○さん、よく来てくれるお客さんだから挨拶して 」

「 あっ、"ワカメ(小鳥)"と言います、どうぞよろしくお願いします 」

「 おっ! "ママ"、新人さんけ?」

「 そうですぅ・・ "ワカメ(小鳥)"ちゃんにも一杯よろしいですか?」

「 おぉいいよ、飲めし飲めし、よろしくね"ワカメ(小鳥)"ちゃん!」

「 ほら! お客さんが良いって 」

「 あっどうも・・ それじゃお言葉に甘えて一杯いただきます 」

このやり取りが成立すると、カウンターを離れて厨房に隠れる。そして氷を入れたグラスに粗方水を注いでから、泡付けと着色の為にサーバーからビールを注ぐ。

これは使うビールの量を極力少なくする手法で飲んでもおいしいものでは無いのだが、

( 何杯も飲まなくちゃいけないから・・)

入店初日に真っ先に仕込まれた。

"ワカメ"とは、"ママ"が決めてくれた店での呼び名で、

「 そうだ!"ワカメ"ちゃんでいいじゃない!」

"小鳥"のツーブロックの髪型を指差してケラケラ笑いながら、それを決めるまでの時間はおおよそ3秒だった。
 
この店は以前"キビヤマ"と通った中のひとつで、働きたいと申し出るまでにはだいぶ悩んだ。しかし、夜の時間を利用して稼ぎを増やそうと思い付いた時、"小鳥"の携帯に入っている中で頼れる連絡先はここしか無かった。

「 昼間と掛け持ちになるけど何とか雇ってもらえないっすか?」

客としては使う事の無かった敬語でお願いすると、それが功を奏したのか、"ママ"はしばらく考えながらも、

「 まぁ、もう一人のボーイも昼夜だから、忙しい時はウチも助かるし、暇な時は交代にもなるけど・・ それで良ければ来てみたら?」

そう言ってくれたのである。

その事を"葵"に報告した時、

「 "イー(葵)"ちゃん、取り敢えずバイトが決まったからさ 」

「 えっ? トラックはどうするの?」

「 夜のバイトだから、しばらくは掛け持ちになる・・」

「 飲み屋?」

「 あぁ・・」

「 "リー(小鳥)"ちゃん、寝る時間が無くなっちゃうね・・」

少しうつむいた"葵"から返って来た言葉は、"小鳥"の体を心配するもので浮気を疑うものではなかった。

この時"小鳥"は、思い掛けないその言葉によって多少なりとも言い訳を考えていた自分の中に嫌らしい思惑が存在していた事に気付き、

( 浮気なんかするもんか・・)

その決意を改めて強くした。
 
 

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一人立ち

 

初めは戸惑った夜の仕事にも慣れ始めると、それに合わせる様にもうひとりのボーイである"レンジ"は、

「 昼間の仕事が急に忙しくなって・・」

と言って夜の出勤を減らし始め、そして遂には、

「 しばらく昼間の仕事に専念します・・」

と"ママ"に告げてからは、全く店に来なくなってしまった。

「 悪いけど"ワカメ"ちゃん、明日から一人で出れる?」

「 はい、大丈夫っす 」

"小鳥"以外のキャストは、"ママ"とその妹の"シズク"に週3勤務の"ミク"、そしてボーイの"レンジ"。

"小鳥"は一緒に働く内に内情をだいぶ把握していた。

"ミク"は隣の大月市で昼間はOLとして暮らし働きながら、

「 会社にバレないように働きたいから・・」

という理由で石和まで出張って夜のバイトをしている。

"シズク"は"ママ"の妹という事もあって、誰に何を言われる事も無く自由気ままに色気を振り撒き、"ママ"とは違う客層を虜にして店への貢献度は意外にも大きい。

"ママ"は自称28歳。スバ抜けた色気を放ち独り身の女を演じているが、実は幼子二人を育てているシングルマザーである。

そして、"レンジ"は昼間はダンプの運転手。しかし店では"ママ"を陰で支える役目を担っていて、"ママ"が店に出ている時、だいたい10時位に店を抜け出しては留守番をするママの幼子達を寝かし付けていた。

"小鳥"は、そんな"レンジ"の休みをカバーする事になったのだが、ここで"ママ"から預けられたのは、自宅の鍵では無く店の鍵だった。
 
 

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奥付


 
  著者 : k.kaminari
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