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一宮base

 

春の色合が辺りを染め始める。

「 あのなぁ! "兄貴(赤鬼)"と話したけんど、ここを今度から一宮支社にするってなってなぁ・・」

"大蛇"にそう言われたのは一月程前の事。

「 えっ? 一宮支社っすか?」

「 おぉ、あっちは本社でこっちは支社だわ、 ほいでおまんは一宮支社になったから今度からトラックはこっちに止めろし 」

「 えっ? ほいだらあれっすか? あっちにはもう、行かなくていいって事っすかぁ?」

「 おぉ、今度からはこっから通うってこんだわ 」

「 は、はい 」

「 嫌け?」

「 いや、全然いいっす 」

「 ほぉズラ 」

「 あのぉ、他には誰がこっちになったすか?」

「 ん? 俺とおまんの二人だわ 」

「 は、はい 」

「 "つぼみ"は経理と飯の支度があるから本社に通うけんどなぁ・・」

「 はい 」

・・・

"小鳥"はいきなりにも一宮支社所属となった。

山梨市から通うのは大変だという理由で、"大蛇"の命令的なアドバイスの下、着々と引っ越しの話は進み、国道20号線沿いのアパートに移った。そのアパートから"大蛇"宅までは車で五分足らずである。

「 これからは食事代を給料から引いとくからねぇ 」

と何かの折に"つぼみ"は言い、一宮支社に所属して初となる給料からはしっかりと2万円が差し引かれていた。

今日は、おおよそチンピラ風の社員達によってお祝いを兼ねた酒盛りが行われ、一宮支社の一員として招く側の"小鳥"は、庭に用意された座敷に100キロ近いガタイで献身的に酒や食い物を運び、会場を整えた。

すでに辺りは暗くなり始めている。

居残り組は家の中に場所を移し、ひとり残った"小鳥"は後片付けに精を出す。
 
 

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暗闇フェイドイン

 

外の片づけを終え、玄関口に集めた洗い物を台所に運び込む。

「 "小鳥"も座って飲めしぃ~ 」

"つぼみ"から声が掛かり、

「 はい 」

一通りの役目を済ませた"小鳥"は、普段は広く感じるリビングが狭く感じられる中、隙間を見付けてあぐらをかいた。
 
笑い声や会話が四方八方に飛び交う中、何処からともなく酒が手渡され、ようやく"小鳥"の宴が始まる。

時間の経過と共にだんだんと人数は減りつつも、それでも賑やかに宴は続き、しかし次の瞬間、"小鳥"が再び感覚に捉えたものは辺り一面の暗闇だった。

( ? )

瞬間移動でもしたかの様についさっきまでの賑やかな宴は何処にも無く、しかも体は仰向けになっていて、ふかふかの毛布が掛けられているのがわかった。

( 一体どうして・・)

憂さを晴らすかの様に酒を何度も一気に流し込んだ為、いつの間にか眠ってしまったのである。

体は火照り、

( 何だか気持ちが良いなぁ・・)

暗闇にいざなわれて再び瞼が重く下がろうとするその途中、

「 ふわぁ~~」

( んん?)

欠伸をしながら気付いた事は、

( ぼ、ぼぼ、勃起してる・・)

一体いつから勃起などしていたのか、それでも、

( まっ、いぃかぁ・・)

考えてみれば、暗闇の中ではとかく気にする必要も無い。
 
 

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