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シアナマイド

シアナマイドを貰った私は意気揚々として病院を後にしました。

 

その時に思ったことは「これで上手く酒と付き合える」

 

でした。

 

これがアル中の発想です。

 

止めようとは思わないのですね。

 

黄疸と言われようが脳の委縮と言われようが、飲むことが最優先なのです。

 


酒と抗酒剤

その日の晩、シアナマイドを小さい透明のカップに1杯入れて飲みました。

 

無味無臭という事でしたが、味はします。

 

なんか不思議な味です。

 

美味くは無いです。

 

スプーンを舌の上に押し付けられているような味。

 

金属臭い味です。

 

さて、それでは次に焼酎を恐る恐るほんの少しだけ飲んでみます。

 

不味い!

 

これは確実に薬が効いています。

 

そしてまた一杯。

 

不味い!

 

そして段々と心臓の鼓動が速くなってきました。

 

顔面も紅くなるのが分かります。

 

あ、いかん・・・

 

焼酎自体の味も不味いし、心臓もおかしくなった。

 

でもそのままチビチビと飲み続けました。

 

結果的に1合ほど飲んで諦めました。

 

これ以上はさすがに無理です。

 

でもこの時思いました。

 

これからはシアナマイドを飲みながら毎晩焼酎を1合飲める!

 

1合で酔える!


通院

この頃から紹介された病院への通院が始まりました。

 

もちろんシアナマイドをもらうためです。

 

家からも近かったですし、週に2~3回通うように勧められた

 

ミーティングにも少しは興味がありましたから。

 


ミーティング

シアナマイドを飲みながらの節酒というアル中にありがちな

 

方法を取った私でしたが、当然のようにこんな方法は続きません。

 

シアナマイドなんて飲まなければバリバリ飲めるのですから。

 

家族があって、寝ている間に無理やり口の中にでも入れられない

 

限り、シアナマイドを飲むか飲まないかは自分で決めることです。

 

そんな自分はミーティングでも「昨日もスリップ(酒を飲むこと)しました」

 

といつも堂々と言っていました。

 

ミーティングには当然医師もいるのですが、飲んだからと言って文句を言われる

 

事などありません。

 

ミーティングとは、円卓にアル中メンバーが座って、それぞれが思い思いに

 

好きなことを発言する場です。

 

医師がいるとはいえ、上下関係はありません。

 

何を言ってもいいのです。

 

日によってはアルコールの話題が全く出ないこともあります。

 

映画の話しに花が咲いたこともありました。

 

知らない人はこんなのが何になるのか?とお思いでしょうが、

 

これが実際にはとても効果があります。

 

なぜかは分かりませんが、私が酒を止めるきっかけになったのは

 

間違いなくこのアルコールミーティングでした。

 


アル中で良かった?

私がいつもミーティングで言うセリフがありました。

 

それは、「なぜ自分がアル中になったのか、その根っこが知りたい」

 

でした。

 

理由を知らない限り病気を治すことは出来ないような気がしたからです。

 

これは私の個人的発想なのか男の発想なのか分かりませんが、どうしても

 

その理由とか理屈が知りたかったのです。

 

私は今も思っていますが、アル中も摂食障害も過食症もその他多くの精神疾患の根っこは

 

同じではないかと思っています。

 

私達はそれがたまたまアルコールに現れただけだと思っています。

 

アルコールは日本では合法ですし、買って飲む分には問題はありませんから

 

そういう意味では私は数ある病気の中でもラッキーな方の病気になったのかな?

 

と思っています。

 

仲間も沢山いますし、専門病院もあります。

 

覚せい剤では洒落になりませんからね。

 

楽観的すぎますかね!?・・・・・

 



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