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出会い

それは休みの日でした。

 

本屋さんの病気の書籍のコーナーでアルコールに関する本を片っ端から手に取って

 

斜め読みしていました。

 

もう何かにすがる思いだったのでしょう。

 

何を読んだのか買ったのかすらあまり覚えていません。

 

そして、そこに書いてある事にかなり感銘を受けたような

 

気もします。

 

しかしただ一つ覚えていることは、シアナマイドという抗酒剤

 

があることを知った事です。

 

これはショックでした。

 

いや、良い意味でです。

 

これで職場で何とか誤魔化しながらやっていける!

 

そう思いました。


病院

それからの私の行動は速かったです。

 

次の休みの日には早速アルコール専門病院に駆け込みました。

 

そして主治医にいきなり言われた言葉は

 

「黄疸が少し出ていますね。調べてみないと分かりませんが

 

脳の委縮が始まっている可能性があります」でした。

 

驚きはしませんでした。

 

確かに白目の部分は黄色かったですし、掌は真っ赤、胸には蜘蛛の巣状のものが出ていましたから。

 

 

そして私は予定通り喉から手が出る程欲しかった抗酒剤シアナマイドを処方してもらいました。

 

これが嬉しかった。

 

これを貰うために敷居の高いアル中病院のハードルを越えたのですから。

 

 

 


シアナマイド

シアナマイドを貰った私は意気揚々として病院を後にしました。

 

その時に思ったことは「これで上手く酒と付き合える」

 

でした。

 

これがアル中の発想です。

 

止めようとは思わないのですね。

 

黄疸と言われようが脳の委縮と言われようが、飲むことが最優先なのです。

 


酒と抗酒剤

その日の晩、シアナマイドを小さい透明のカップに1杯入れて飲みました。

 

無味無臭という事でしたが、味はします。

 

なんか不思議な味です。

 

美味くは無いです。

 

スプーンを舌の上に押し付けられているような味。

 

金属臭い味です。

 

さて、それでは次に焼酎を恐る恐るほんの少しだけ飲んでみます。

 

不味い!

 

これは確実に薬が効いています。

 

そしてまた一杯。

 

不味い!

 

そして段々と心臓の鼓動が速くなってきました。

 

顔面も紅くなるのが分かります。

 

あ、いかん・・・

 

焼酎自体の味も不味いし、心臓もおかしくなった。

 

でもそのままチビチビと飲み続けました。

 

結果的に1合ほど飲んで諦めました。

 

これ以上はさすがに無理です。

 

でもこの時思いました。

 

これからはシアナマイドを飲みながら毎晩焼酎を1合飲める!

 

1合で酔える!


通院

この頃から紹介された病院への通院が始まりました。

 

もちろんシアナマイドをもらうためです。

 

家からも近かったですし、週に2~3回通うように勧められた

 

ミーティングにも少しは興味がありましたから。

 



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